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東方虚空伝
第三章   [ 花 鳥 風 月 ]
五十六話 凶夜の警鐘 参
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のその言葉は囁きの様な声量で――――氷の様な冷たさを宿していた。

 そして、次の瞬間――――――――

 一瞬にして間合いを詰めた萃香の容赦無い右拳が、椅子に踏ん反り返っていた百鬼丸の顔面へと突き刺さり――――椅子を粉砕しながら百鬼丸を壁へと叩き付けた。

「もういいッ!アンタに預けてある長の称号返してもらうよッ!」

 烈気を放ち、殺意を込めた宣誓をする萃香――――対照に百鬼丸は陥没した壁から身を乗り出し口元の血を拭いながら――――嬉しそうな笑いを浮かべる。

「クハハッ!ハーハハハハハハハッ!全くこっちは忙しいっていうのになッ!でも嬉しいぜ萃香!漸くその気になってくれてよッ!いいぜ相手してやる!かかって来なッ!」

「百鬼丸ゥゥゥゥッ!!」

 放たれた矢の如き勢いで放たれる萃香の拳の一撃と、それを迎え撃つ形で振るわれた百鬼丸の拳がぶつかり合い――――まるで大瀑布が起こったかの様な衝撃が要塞を激しく震わせた。

 
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