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古城の狼
8部分:第八章
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第八章

「聞かれていると森をイメージすることが多いとおもいます。これは我々の心の無意識に森があるからです」
 先程も出たようにドイツは森の国である。彼等の心の奥底に森があるのは当然なのだ。
「その中に潜んでいたのです。その恐怖はいかばかりでしょうか」
「・・・・・・・・・」
 我々にとって鬼と同じであろうか。鬼も我々の無意識にある山に隠れ住み人々に害をなしてきた。その為だろうか。僕は子供の頃山が怖かったのだ。
「そして我々は森に入りました。そしてその異形の者を倒していったのです」
「それでもまだ残っていると」
「はい、おそらくは」
 彼はそう言うと表情を暗くさせた。
「実はこうした事件は以前より度々起こっているのです」
 彼は沈痛な声で言った。
「森の中で異形の者の餌食にされたという事件が。私はそれを聞きこの村に派遣されたのです」
 どうやら彼はただの神父ではないらしい。
「そうだったのですか。そして何か手懸かりは?」
「何も・・・・・・」
 彼は残念そうに首を横に振った。
「森の中に潜んでいると思われますがはっきりしたことは・・・・・・。上手く潜んでいると思われます」
「そうですか・・・・・・。それにしても」
 僕はある疑念を神父に対して言った。
「僕のような通りすがりの男に言っても構わないのですか?その様な重要なことを」
「それは構いません」
 彼は穏やかに微笑んで言った。
「貴方がここに来られることは運命なのですから」
「運命?プロテスタントでいう予定説ですか?」
「はい」
 彼は答えた。
「私はここへ来る時協力者が現われると聞いていたのです。それは今日現われると」
「それが僕だったと」
「そうです。私は貴方がここへ来るのを待っていたのです」
「それは・・・・・・」
 これには正直驚いた。まさかこんなことになるとは夢にも思わなかった。
「これも神のご意志でしょう」
 神父はそう言うと微笑んだ。
「そうだとしたら何故僕が!?」
 これが第一の疑問だった。
「貴方の身に着けている知識を神は望まれたのでしょう」
「僕の知識ですか?そんな大したものは・・・・・・」
 僕はその言葉を聞いて恥ずかしくなり苦笑した。
「精々動物に関するものしか」
「それを望まれたのでしょう」
 彼はにこやかに笑って言った。
「それが如何なる力になるかは私にはわかりません。ですがそれが必ずや役に立つでしょう」
「そうだったらいいですけどね。ということは僕も人狼の退治に参加すると!?」
 この時ようやく気付いた。よく考えたらそうなのだ。だからここにいるのだ。
「そうです。それも運命です」
 神父は相変わらずにこやかに笑っている。
「生憎僕は化け物のお相手は・・・・・・」
「それは私がし
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