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古城の狼
20部分:第二十章
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第二十章

「・・・・・・ご主人の言葉をお伝えしましょう」
 神父は彼女に対し静かに言った。
「・・・・・・・・・」
 彼女はそれを聞くと表情を消した。そして神父に顔を向けた。
「貴女を退治して欲しいと。そして先に待っていると」
「・・・・・・そう」
 彼女は一瞬悲しそうな顔をした。だがそれをすぐに消した。
「けれどそれは適いませんね」
 彼女は再び顔に笑みを作って言った。
「何故ですか!?」
 僕は問うた。
「貴方達が代わりに行くからですわ」
 そう言うとその青い眼を光らせた。
「私は誇り高き人狼の者。人間などに倒される筈がありません」
 その顔を金色の毛が覆いはじめた。
「そしてこの永遠の命を楽しむ。血と肉を楽しみながら」
 毛が腕も覆う。手が狼のものに変わっていく。
 身体が人のものから狼のものになっていく。そして服から出て完全に人ではなくなった。
 そこにいたのは黄金の毛を持つ巨大な狼であった。月の光に照らされたその姿は気高いまでに美しかった。
 だがそれは外見だけであった。全身は黒い瘴気に覆われ青い眼は血に餓えて燃え盛っていた。
「フフフフフフフフ」
 彼女は笑った。狼の笑いではなかった。何と人の声だった。
「さあ楽しみましょう」
 左右の燭台が宙に浮かび上がった。
 そしてそれは僕達に向かって飛んできた。僕達はそれを剣と短剣で叩き落とした。
「長い夜の宴を」
 それが始まりの言葉だった。彼女は跳躍して僕達に襲い掛かって来た。
 彼女はその牙と爪で襲い掛かる。僕達はそれに対し銀の武器と持って来た聖水等で対抗する。
「喰らえっ!」
 僕は聖水を浴びせかけた。そして次に塩を浴びせる。
 だが彼女は一向に動じない。それに構わず襲い掛かって来た。
「クッ!」
 僕はその牙を側にあった椅子を投げてかわした。椅子は彼女の身体に当たり粉々に砕け散った。恐ろしい身体である。
「それならっ!」
 神父が懐からあの拳銃を取り出した。そして発砲する。
 しかしそれは命中しなかった。彼女は素早く跳躍しシャンデリラの上に上がった。
「フフフ、惜しかったですね」
 彼女は自信に満ちた声で言った。
「折角に銀の弾丸も当たらなければ意味のないこと」
 彼女は笑って言った。
「聖水も塩も通用しないとはな」
 僕は彼女を見上げて忌々しげに呟いた。
「先程のお水ですか」
 彼女はそれを聞いて嘲笑する声を出した。
「あの程度でこの私を倒せると考えておられるとは」
 その声を聞いて僕は一瞬絶望しそうになった。
「クグツならいざ知らず」
 彼女は僕達を見下ろしながら言った。
「この私には通用しませんわね」
 そうであった。高位の魔族には聖水や塩程度では効き目がないのだ。
「私を倒そうと思
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