暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女なゼロ!
本編
第五話
[1/4]

[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話
「ルイズ、杖はどうしたのですか?」

その質問をルイズは待ち焦がれていた。

魔法が貴族を貴族として成り立たせている世界において、魔法を発動するための媒体である杖は貴族の象徴とも言えるモノであった。故に杖は貴族にとってなくてはならないもの、戦うための武器であり、また自らの地位を誇示するための物であった。そんな杖を疎かにする貴族はまずいない、燃えて灰になったりでもしない限りは愛着のある杖を手放す者はいない。

そして当然の事ながら魔法の練習をしている最中に地球に転移してしまったルイズも、杖を持っていた。しかし様々なお土産が詰まっていたカバンの底が見え始めても、ルイズの杖が出てくる様子はない。杖というのは文字通り棒状のものなので、どこか身に着けていたならばすぐに分かるはずだが、ルイズが杖も持っている様子は無かった。自宅に帰って来てわざわざ隠し持つ必要もない。

そんな様子から、おそらく地球とやらで紛失してしまったのだろう、と当たりを付けてヴァリエール婦人はルイズに問いかけた。

「ここにあります」

しかしルイズから返答は意外なものであった。ルイズは自身が首元に下げていたネックレスの先に付いたクリスタルのようなアクセサリーを持ち上げて、これが杖です、と言った。それを聞いたヴァリエール夫妻は首を捻った。ルイズのそれは美しい石だとは思えても、杖などとは到底考えれないものだった。

「ほら、挨拶しなさい」

「はい、テゥースです、マスターのデバイスをやっております」

ルイズが持ち上げたクリスタルが、薄く点滅しながら言葉を発する。流暢に喋る様子を見てもヴァリエール夫妻が驚いた様子は無かった。これが地球であったならば、少し驚いた後にまずクリスタルの中に小型の電話機が入ってるのではないかと疑うだろう。次にその正体がAI、つまり人工知能だと聞いてその技術力の高さに驚くだろう。しかし、ここは魔法が日常的なハルケギニア、珍しくはあるが言葉話す道具というのも無くはなかった。

「珍しい、インテリジェンスアイテムですか。しかし杖には見えませんね」

「いえ、これは確かに私の杖で、大切な相棒です」

ルイズはトゥースと、そのクリスタルに呟くと、意図を察したトゥースは一瞬光に包まれた。光が晴れると、先程までは無かった杖が現れていた。一見すると少し短めのレイピアのようだが、よく見ると先端はあまり鋭く尖っている訳でなく刺突するには向いていないことが分かる。そもそもルイズはテゥースをタクトとしていた。形状から見て指揮棒の意味でのタクト、役割として杖としての意味でもタクト、ということだった。

取っての部分は丸みを帯びており掴みやすくなっており、そこから少し登ったところに、まるで剣のような鍔が左右にの伸びており、その鍔の先端は持ち手側の方向に
[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ