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ドリトル先生の水族館
第二幕その六
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「絶対にお顔を前にして泳ぐと思っていたよ」
「この形見てるとね」
「普通はそうだよね」
「それで身体を横にうねらせてね」
「そうして泳ぐと思うよね」
「それが違うんだ」
 このお魚はというのです、リュウグウノツカイは。
「縦にするんだよ」
「そうして泳いだら遅いんじゃ」
「ただ泳ぎ方が変わってるだけじゃなくて」
「天敵に狙われない?」
「鮫とかに」
「深海だからそうした鮫もいないよ、鯱も来ないしね」
 海の生きものの殆どの天敵であるこの生きものもというのです。
「たまにマッコウクジラが来る位だけれど」
「そうした天敵になりそうなのもいないし」
「そうした泳ぎ方していても」
「別に襲われたりしないんだ」
「そうなんだ」
「だからいいんだ」
「そうだよ、けれどその泳ぎ方も何とかわかった位で」
 先生は剥製を見つつお話していきます。
「生態はまだまだわかっていないんだ」
「そういえば剥製はあるけれど」
「生きたままではいないよね、この水族館にも」
「そうそう、ここにもね」
「いないよね」
「深海から出て来るのは稀でね」
 先生は皆にこの理由もお話します。
「飼育してみてもすぐに死んでしまうんだ」
「飼育するのも難しいんだ」
「すぐに死んでしまうんだ」
「だから余計にわかっていないんだ」
「このお魚のことも」
「そうなんだ、本当に稀なお魚でね」
 その生態が、です。
「わかっていないことが多いんだ」
「もっとよくわかればいいね」
「お顔見たら随分グロテスクで」
「怖い感じだけれど」
「果たしてどんな暮らしをしているのか」
「確かになって欲しいね」
「そうだよね」
「僕も調べられたらね」
 先生もかなり残念そうに言うのでした。
「いいんだけれどね」
「そうもいかないんだね」
「残念なことに」
「それは」
「うん、世の中わかりやすいこととわかりにくいことがあって」
 それで、というのです。
「リュウグウノツカイのことはね」
「わかりにくいんだね」
「そっちになるんだね」
「どうしても」
「そうだよ、そっちになっているんだよ」 
 残念そうにお話する先生でした。
「深海にいることもあってね」
「深海に自由に行けたら」
「もっとよくわかるのにね」
「残念だけれどそうもいかない」
「そういうことなんだ」
「うん、人間は空は行ける様になったけれど」
 飛行機や気球を使ってです。
「そして宇宙にも行ける様になったけれどね」
「深海はなんだ」
「まだ自由には行けないんだね」
「お空みたいに」
「そうだよ、深海奥深くに行くことはね」
 それこそとお話する先生でした。
「お空に行くよりも難しいんだ」
「どっちも同じじゃなくて」
「お空の方が簡単
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