暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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〜銃声と硝煙の輪舞〜
進路の行方
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分間も衛星に映らないこんな穴蔵に閉じこもっているのは、ひとえに残弾量の心配があった。

ミナの能力値構成は、相手の弾幕を掻い潜って接近する敏捷値優先型であり生粋の前衛攻撃職(アタッカー)だ。

そのため、荷重量超過による移動ペナルティを受けないためにも、手持ちの弾薬数は削減せねばならないのが現状だ。それは残念ながら、彼女の信条とは悲しいくらいまで矛盾している。

よってミナがあらかじめ考えていたのは、序盤は人目を掻い潜り、生き残ったプレイヤーの少ない終盤戦で今まで温存していた弾薬を気持ちよくブッ放すという、良く言えばシンプルで、悪く言えば大なり小なり誰でも考え付きそうな作戦だった。

だが、その単純な作戦も早くも瓦解しようとしている。

他でもない。本人の忍耐力の無さ、という問題で。

破天荒なリラの後ろにいつも付いて行っていることから、またいつもその破天荒を止めようとしていることから、周囲からレッテルなどではなく極めて自然的なことに《爆弾魔(ツァーリボンバー)安全装置(セーフティ)》などと言われることもあるが、それも彼女の本質を知らない古参プレイヤー以外だ。

古参プレイヤー達は口を揃えて言うだろう。

とんでもない、アイツが安全装置な訳あるか。アレはただの着火剤で、起爆剤だよ、と。

その話は、半分が真実だ。というのも、いつも破天荒なリラが突飛な目標を(多くは突発的に)決め、そしてミナがそれをさらに拡大して引っ掻きまわすというのが通例となってしまっているからだ。

ゆえに古参達は二人のことをこう評す。

《戦争屋》

はぁ、とひとしきり地団駄を踏んだ少女は諦めたように動きを止め、重い溜息を吐きながら恨めしげに時計を再度見る。

決めておいた行動計画は、この洞窟入口で可能な限り待っておいて、その間のこのこと洞窟の恩恵に預かりに来たプレイヤーは頭上からの奇襲で仕留め、本戦開始から一時間が経過すれば走り出て思いっきりヒャッハーするというものだった。

しかし、待てない。

撃ちたい。

身体の上に乗っかっている邪魔な(にく)をフッ飛ばしたい。

イライラする感情の波を少しでも紛らわせるように爪を噛んでいたミナは、はぁと重い溜息とともに腰を下ろした。

ひんやりとした岩の感触が、思考に幾ばくかの冷静さを取り戻させる。

「リラちゃん……大丈夫かなぁ」

膝の合間に顔を埋めながら、ぽつりと少女は零す。










もはやその全容がはっきりと目視できるようになってきた廃都へと、音を置き去りにする速度で疾駆するレンは、《会話》していた。

―――それで狂怒。《天墜(てんつい)》の最大直径は八十メートルってことでいいんだね?

胸中で呟く、半ば独り言
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