第二十三話
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いだ。その損傷は大きかったのか、何も無いはずの暗闇の一部が不自然に屈折し始め、とうとうその姿を現した。
「くッ、私としたことが!?」
青空のように澄んだ水色の短髪に、同じ色の瞳。冒険者に似つかわしくないくらい清純な顔立ちをした眼鏡の少女だった。眼鏡を掛けているせいか理知的な雰囲気が出ている。
そして布だと思っていたのは違ったようで、どうやら彼女の頭に付けられている帽子のような防具の一部だったらしい。ツバ状の形を取っていたであろう前部が不自然に欠けていた。
同じく特徴的な靴。くるぶし辺りから小さな羽根が生えており両足合わせて四本、まるでその靴が鳥であるかのようなデザインであり、事実、その靴は少女を空中に浮かせていた。つまり魔道具だったのだ。
追跡がばれたことによる動揺なのか、はたまた魔道具へ寄せていた信用を裏切られたことによる驚愕なのか、レンズ越しの瞳は限界まで開かれており、表情は苦虫を噛み潰したようである。
「身を透明にする帽子に空を飛ぶ靴ねぇ……。そんな稀代な魔道具、そう簡単に作れるような代物じゃないはずなんだけど」
もうこちらの素性がばれたに等しい。
ちなみに彼女の追跡能力は非常に高い。超が付くほどレアで実用性最高の魔道具も併用していれば、まず気取られることはないくらいだ。ただ生憎と視線に晒される人生を送ってきた私にとって、君の凝視は痒くなるくらい解りやすいものだったよ。ま、逆にそれくらい上手い尾行を簡単に見破れる時点で、私の素性が露見してしまうというわけだ。
ただ相手から見れば私は限り無くきな臭い奴くらいにしか見えないはずだ。少なくともこれだけの判断材料でクレア・パールスだと断定できないはずだ。専用魔法は誰も見てないときに使っていたし、念のため体術も控えていたし。
だから私はさしずめ「やれやれ正体が割れてしまっては仕方ない。消えてもらう」的な態度を取ることにする。
私の独り言とも取れる言葉に少女は表情をきつく引き締めた。
「これは帽子ではなく、兜です」
「あ、そうなの? ちなみにそれは君が作ったの?」
少女は今度こそ沈黙し、すっと腰から短剣を取り出し構える。表情的に図星だから、きっと彼女が作ったのだろう。そうだとしたら彼女はかなり高名な魔術師か、発展アビリティに【神秘】を持つ冒険者のはずだ。
ただでさえ魔道具の製作の難易度は高いのに、身を透明にしたり空を飛べたりする魔道具となると魔法大国が抱える優秀な魔術師でも片手ほどしか作れないレベルだ。もしくはかつて賢者の石と呼ばれた永遠の命をその手で作り出した賢
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