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ダンジョンに出会いを求めるのは間違っていた。
第二十二話
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当に深層に潜っていないため、ロキはそれ以上疑うことなく「まあ絶好調ならそれでええ。ただ後に控えとる遠征でボロ出んようしっかり休みとりぃな」と成長を喜んだ。

 それだけではない。ステイタスという文面上だけでなく、しっかりと実技にも影響が現れていた。
 結局レイナの槍が生み出す絶対領域を踏破することは出来なかったが、片手で数えられる程度だが、一瞬だけ突破できそうな場面があったのだ。それは一重にまぐれと処せるものではなく、確かにアイズの技術が熟練した証拠だった。

 早朝の自主練習のときに焼き付けたその場面を頭の中で再生し、どういう判断でその行動に踏み出したのか、どういう体運びだったか、その時レイナはどう反応していたかを分析して剣を振った。

 今までは誰かに言われた通りの戦闘しかしてこなかった。エアリアルという強力な魔法が使えるようになってからは多少の自己流のアレンジを加えてはいたが、やはり師であるフィンたちから教わった戦闘理論に縛られていた。
 それを自覚しつつあったからこそ深層の迷宮の弧王(モンスターレックス)にソロで挑むという型破りな行動に出たのだ。そうしなければこのまま何かが錆びれてしまいそうだったから。縛られたままになってしまいそうだったから。

 だから、今回のエイナとの練習は新鮮かつ大変有意義なものだったとアイズは感じていた。

 自分がいつからか女性最強の冒険者と呼ばれるようになって久しい。そしてその名に恥じぬ実力を持っており、他者の追随を許さなかったのも事実だ。
 しかし、それが逆にアイズの成長を妨げてしまっていたのだ。すでに自分の周りには自分より上の存在がいなくなってしまった。見上げるべき存在が身近にいなくなってしまった。己の指標とすべき人がいなくなってしまった。

 そこに遥か格上のレイナが現れたのだ。飛びつかないはずがなかった。わずか数日という常人からしてみれば短すぎる時間だったが、恵まれた才能を持つアイズは最大効率でレイナから盗めるものを盗み続けた。この時点で数日前のアイズとは比べ物にならないほど腕が磨きあがっているのを自覚しても、まだまだ盗み足りないと貪欲な思考がちらつく。

 本当は遠征に行きたくない。そんなことをするよりもレイナと練習していた方がよほど身のためになると思っている。だがファミリアの立場上そんなわがままは許されない。というか、この密会自体処罰に値する重罪である。
 これ以上隠し続けるのは難しいことだ。

「今日までありがとう。レイナに声を掛けてよかったと思ってる」
「私も、ありがとう。久しい感覚を、思い出せた、よ……」

 まだ肩で荒い息をするレイナは意味深な言葉を返す。そのたびにアイズは妙な違和感を覚えるが、天才とは一方には秀ているが一方には劣っている、アイズの場合は
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