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龍が如く‐未来想う者たち‐
秋山 駿
第一章 崩壊する生活
第七話 情報
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髪に少し焼けた肌だが、その男にも代紋はついている。


「最後はこの男、宮藤(くどう)宏明(ひろあき)
「本当にヤクザなのか?」
「最初は、俺も疑いましたよ。だけど奴の足取りを追っていると、喜瀬や足立よりは力も頭も上だと知らされました」
「他の2人より、上?」


想定外の発言に、余計頭が混乱する。
人は見かけによらないとは言うが、これは今の時代に合った極道なのか桐生のような極道はもう古いのか。
堅気の人間ではあるが、時代の変化に少しだけ寂しく感じた。


「ホストクラブを数店経営してる為、経済力は足立よりは上です。さらに喜瀬を軽く叩きのめす程の力もあります。今の7代目最有力候補は、この宮藤かと」


再びざっと写真を眺め、秋山は癖で煙草を取り出す。
火を点けた直後、じっと見る谷村の視線を感じた。


「煙草、大丈夫?」
「火点けといて、今更何言ってるんですか。どうぞ」


秋山は無理矢理笑顔を作るが、だがどうしても心の奥で引っかかっていた。
このまま、喜瀬を追っても良いのだろうか?
遥を助け出したいが、飛んでくる喜瀬の拳がフラッシュバックする。
それと同時に、あの時の光景も瞬間的に思い出した。
女性が凶弾に撃たれ、そのまま絶命していく姿を。

リリ。
かつて客として迎え、いつしか愛するようになり、そして守りきれず死んだ。
もう、あんな思いをしたくない。
だけど、かつての友の死を受け入れたくもない。
遥のことも、見捨てたくはない。

数々の思いを巡らせながら吐く煙をぼーっと眺め、ふと時計を見ると既に夜の7時を回っていた。


「さてと、そろそろ行くか」
「あれ?秋山さん、どこに行くんですか」
「ミレニアムタワー。堂島さんに呼ばれたから、会いに行ってくるよ」
「これ以上、足突っ込んじゃっていいんですか?本当に、戻ってこれないかもしれませんよ」


秋山は再び煙草の煙を吐きだし、スカイファイナンスの扉を開けながら谷村を見る。
堂々巡りの考えに足を取られるなら、もう何も考えない方がいいと思った。
自分のしたいようにやる、そう考えると自然と前を向ける。
そしてその目は、もう迷いがなかった。


「一度、桐生一馬という男に救われたんだ。絶望の淵から救ってくれた男の、真実が知りたい。遥ちゃんだって、このまま放っておくわけにはいかないしね」
「へぇー、秋山さんらしくない」
「あんたねぇ、俺の事なんだと思ってるんだ」
「……なかなか働かない金貸し、とでも言えば満足ですか?」


意見が図星だったため、思わず動揺する。
零れ落ちそうになった煙草を咥え直し、軽く笑った。


「今度さ、飯でも奢ってよ。人助けしてるんだからさ」
「嫌ですよ。何で俺より
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