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リリなのinボクらの太陽サーガ
意志
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く壊れていくのを、私は見てる事しか出来なかった。皆の悲鳴を、大地の叫びを聞きながら、逃げて……逃げて……逃げるしかなかった。だってしょうがないじゃない……どこからともなく現れた魔導師と呼ばれる、普通では無い力を操る人達ですら、彼女には太刀打ち出来なかったのだから。それに、彼らは完全な味方という訳でもなかった。

全てが終わるまでの長い……それはもう永遠にも感じられた長い時間、恐怖に震えていた私達の避難所に現れた、管理局という見知らぬ組織の魔導師にマキナと彼女の母親が連れて行かれるのを、私は止める事が出来なかった。必死に……マキナを連れて行かないでって、懸命に呼び止めたのに、彼らは聞き入れてくれなかった……。子供の我が儘だと一蹴されて、一切耳を貸してくれなかった。

その後は故郷が崩壊している光景も相まって、自分のあまりの無力さに打ちのめされた。それでも何とか残った資材をかき集めたり、亡くなった人達の墓を掘りながら、アクーナをどうにか暮らせる程度まで復興させていった。外の世界からやって来た企業や組織が勝手にニダヴェリールの資源を奪っていくのを見ても、私はもう何も思えなかった。だけど……ビルに投影されていた管理世界のニュース番組で、あの大破壊の責任を何故かマキナ達に押し付け、更にそれを見た管理世界の人間が酷い罵倒を映像の向こうにいる彼女達にぶつけているのを見た時、私は理解した。

外の世界には信じられる人間は一人もいない、誰かから奪って傷つけて悦に入る人間ばかりだって……そう確信した。それ以降、私は外から来るものを全て拒絶しながら過ごしてきた。被害者云々言ってくる連中も、どうせ自分達の事しか考えてないと思って追い返した。街の皆は私がいつか外に居場所を作る事を願っていたが、あんな所に酷い場所に行くぐらいならここで皆と一緒に骨を埋めた方がはるかにマシだって、ずっとそう思っていた。正確には今の次元世界の人間に何の希望も見出せなくなった、と言った方が正しいか。

私が古代語や古文を独学で覚えたのは、過去にしか興味を抱けなくなったが故……。未来に目を向けた所で、夢も希望も無い。前を向いても何一つ光なんかない、と……。そう、私の心は闇に沈み、太陽そのものを見失っていたのだ。だからいつかアクーナが滅ぶ時、私も一緒に死ぬつもりだった。一人生き残ってても何の意味も無いから……もう、全てを諦めて楽になりたかったから。

そうやって変わり映えしない11年の時が過ぎたある日、アクーナに一人の女性が訪れた。エレン・クリストールと名乗った彼女は、新たに転生した闇の書が無力化された事と、破壊を撒き散らしていた原因……ヴォルケンリッターや銀髪の女性、今はリインフォース・ネロと名乗っている彼女達の事や、彼女達を今後管理局がどう扱っていくのかなどの話を伝えてきた。それを聞いた時
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