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serial experiments S. A. C
イドの昇華 -Sablimatin of Id- Collective unconscious
lainとは
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「まず、lainについての情報を整理するわ」
再びミーティングを行う。
「lainはワイヤードのプログラム構築者及び管理人。凄まじい技術を持ってるわよ。」
「一部のユーザーからは"神"とまで言われてるみたいです」

「……神?」
「神って……」
「ネットスラングの"神"の方か?」
「それはちょっと……」
トグサの話した情報に胡散臭い目を向ける課員達。
「なんでそんな目をするんですかもう!」
憤るトグサ。
収集した情報を提供しただけであるのにまるで自分が疑われているような反応をされるのだ。
無理もない。
「いいですか、例えば少佐の電脳スキルをどう思います?有り体に言えば"すごい"でしょう」
「まあそりゃあな……」
いくら電脳空間と親和性の高い義体とは言えど、身一つで行われるハッキングやクラッキングは極々一部の者達しか行うことができないものである。
"すごい"どころの話ではない。
「その少佐がですよ、lainの組んだプログラムを"すごい"と言う訳です」
"すごい"の上にある"すごい"。
「ああ、なるほど。」
「手持ちの言葉が尽きる訳か」
「成る程。それで"神"ね」
それは最早言い表せない程上の者という意味を持つ。

「じゃあ"犯人"はどうなるのかしらね……」
曲がりなりにも"神"と形容されるlainを上回る犯人は。
「犯人……か」
「少なくとも9課をおちょくれるんだもんなぁ……」
「一神教である宗教は他の宗教の神を悪魔と呼んだりするそうよ……」
「まあ、ユーザーにこの事が広まったらの話なんでしょうけどね」






マンションの一室らしい部屋で2人は向き合っていた。
「玲音、今日は学校行った?」
「ううん、行ってない」
「そうなの。……あまり時間が空きすぎると行きにくくなるから、時々は行ったほうがいいわよ」
ゴポコポというコーヒーメーカーの作動する音が小さく続く。
シュンシュンというヤカンに入った水が沸騰する音に気付いて、米良は椅子から立ち上がった。
「玲音は紅茶でよかったわよね?」
「うん、柊子さんが入れてくれる紅茶、美味しいから」
「ふふ、ありがとう」
高温の湯を茶葉の入ったポットに入れて、しばし待つ。
「……柊子さんは、子供はみんな学校に行かなきゃ行けない、って思ってる?」
「んー、そうねえ……。私が子供の頃はまだ電脳化の技術が今みたいに確立してなかったってのは知ってる?」
「うん、歴史の教科書で出てくるから」
歴史の教科書では世界大戦の方が大きく取り上げられているが、日本史なんて科目も存在するのだ。
電脳化技術という革新的な出来事が取り上げられない筈がない。
「その頃はまだ、自宅で勉強するのなら他の人との交流は電子端末でしか出来なかったのよ。学校の役
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