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恋姫†袁紹♂伝
第27話
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 張三姉妹を陣営に迎え入れてから三日後。日が沈んだ南皮の広場に大勢の民衆が押し寄せていた。
 今日は張三姉妹の南皮初公演ライブだ。天和と地和が提案し、人和が二人を諌める中袁紹が許可を出した。

 南皮は十五万の人員を受け入れたばかりで多忙である。そこに民衆を集めて芸を披露することになるのだから、当然ながら大騒ぎになった。袁家内は上へ下へと慌しく動き回り、桂花にいたっては余りの多忙ぶりに残像を生み出すほどだ。
 その後、袁紹から直接謝罪と労いの言葉があったのは言うまでも無い。

 こうして急遽設置された舞台の上に、張三姉妹が躍り出る。
 元黄巾だった者達が歓声を上げ。姉妹を代表して天和が口を開いた。

『みんなー! 今日は集まってくれてありがとー!!』

 久しぶりに聞く彼女の声に感極まる男達。張三姉妹を知らない大多数の民衆と温度差があるが、彼女達の歌さえ始まれば問題ないだろう。
 余談だが、会場を埋め尽くす民衆は数十万にも及ぶ。そんな彼等にどうやって天和達は声を届かせているか、信じられない事に拡声器マイクが使われていた。

 無論、この時代に音響機器の類は存在しない。拡声器の正体は宝石を用いた呪符だ。
 これは太平要術の書で作り出した物らしく、効能は文字通り音声の増幅。
 妖術の類だということもあって初めのうちは警戒したが、拡声器としての機能以外無いらしく、特別に使用が認められていた。

『みんな大好きーー!』

『てんほーちゃーーーーん!』

 合いの手に反応し、軽やかにポーズをきめる天和。

『みんなの妹』

『ちーほーちゃーーーーん!』

 続いて呼ばれた地和は、ウィンクを飛ばしながら天和に並びポーズをきめる。

『とっても可愛い』

『れんほーちゃーーーーん!』

 最後に人和が二人に合流して完成。一連の流れからしてお約束なのだろう。

『数え役萬☆姉妹シスターズ。ここに開幕!!』 

 三姉妹が同時に宣言し、大地を揺るがすほどの歓声が響き渡る。
 やがてそれが収まっていくと同時に、三姉妹達は間を開けず歌いだしていた。








「はぇ〜、すっごい美声」

「声だけなのに、楽器の演奏が聞こえてくる感じがします」

「おや、風だけでは無かったのですね〜」

「彼女達の技量がそうさせるのだろう。見事だ」

 斗詩が呟いた通り、今回の舞台には楽器による演奏はされていない。
 黄巾在中だった頃は拡声器に留まらず。呪符を用いて楽器の演奏や舞台効果の演出もしていたとのこと。しかし、それらを使い始めた頃から黄巾達の様子がおかしくなった為、呪符による演奏には洗脳効果もあったと思われる。

 人和の提案により拡声器以外の呪符は制限され。彼女達は肉
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