暁 〜小説投稿サイト〜
真田十勇士
巻ノ十一 猿飛佐助その六
[1/2]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
「主従でありますが」
「義兄弟になるのですな」
 穴山も話した。
「これより」
「そうじゃ、よいか」
「はい」
 穴山も確かな笑みで応える、そして。
 彼も根津も指で傷を付けた、それから。
 盃に血を入れた、他の者達も続いてだ。
 全員で回し飲みをした、それが終わってだ。由利は満足した様な顔でその義兄弟となった者達に話した。
「さて、これで簡単には死ねなくなったな」
「御主がそう簡単に死ぬか」
 海野はその由利に笑って問うた。
「わしにしてもじゃが」
「ははは、首が飛んでもくっついてな」
「生きてみせるな」
「そのつもりじゃ」
「そうであろう、皆な」
「まさかこうした流れになるとは思わなかったが」
 しかしとだ、霧隠はまんざらといったものではない感じだった。
「これも悪くはない」
「ははは、地獄に落ちても十一人で鬼共と戦をするか」
 猿飛はここでもこんなことを言った。
「徳川と戦うのもよいしな」
「御主はそこまで戦が好きか」
「だから強い者と勝負をするのが好きじゃ」
「それがか」
「あと生きものに子供も好きじゃ」
 そうしたものもというのだ。
「子供と遊ぶのもまた楽しみじゃ」
「そうなのか」
「しかしおなごは苦手じゃ」
「それは聞いておらぬわ」
 霧隠は猿飛に口を尖らせて返した。
「全くな」
「そうか」
「そうじゃ、とにかくな」
「わしが子供が好きだということがか」
「意外じゃな、しかしそれでいてわかる」
 猿飛がそうした一面を持っているということがというのだ。
「それがな」
「左様か」
「うむ、とにかくじゃ」
 これからというのだ。
「我等十一人、何があろうと一緒じゃな」
「そうなったな」
「義兄弟としてもな」
「ではあらためて進もう」
 話していた一同に幸村がまた言った。
「都、そして大坂までな」
「大坂の城はまだ縄張りもしておりませぬぞ」
 猿飛が幸村に話した。
「そこまでは」
「そうか、それもか」
「はい、まだです」
「そうなのか」
「しかし話は進んでおる様です」
「石山御坊の跡地にじゃな」
「左様です」
 こう幸村に答えた。
「そこに築こうとです」
「これまで羽柴殿は近江、播磨に城を持たれていましたが」
 霧隠も言う。
「大坂に拠点を移されますか」
「大坂は天下の要となる場所」
 幸村は大坂についてこう述べた。
「前に瀬戸内、そして淀川を持ち水の便がよい」
「だからですか」
「羽柴殿はあそこに城を築かれてですか」
「拠点とされる」
「そうお考えなのですな」
「都にも奈良にもすぐじゃしな」
 幸村はこのことについても言及した。
「それこそ一日で行ける、西国を治めるのならあそこじゃ」
「では羽柴殿は」

[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ