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欲しいものは
5部分:第五章
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第五章

「欲しかったから」
「そうだよ。だからあんたもね」
「うん」
「欲しかったら自分で作るんだよ」
 こう男の子に言いました。
「自分でね。いいね」
「そうしたらお爺ちゃんみたいになれるんだ」
 男の子はお婆さんのその話を聞いて思いました。
「そうしたら」
「そうだね。凄い発明家になれるよ」
「発明家か。いいなあ」
 男の子は発明家と聞いてそこに憧れを抱きました。
「僕も。そうなりたいな」
「頑張るんだよ、だったらね」
「うん、ところでさ」
 話を聞いてからまたお婆さんに尋ねたのでした。
「お爺ちゃんは今何処にいるの?」
「研究所に行ってるよ」
「けんきゅうじょ!?」
「お爺ちゃんがお仕事をする場所だよ」
 男の子にわかりやすく説明しました。
「今はそこにいるよ。ずっとね」
「そこにいるんだ。けんきゅうじょってところに」
「一旦中に入ったら中々出て来ないからね」
 そうは言いながらも微笑んでいるお婆さんだった。
「お義父さんもお義母さんも言ってたよ。本当にはじめたらそれにかかりっきりって」
「ひいお爺ちゃんとひいお婆ちゃんだよね」
「あんたから見ればね。そうなるよ」
「お爺ちゃんも子供の頃があったんだ」
 これはまた小さい男の子には想像できないことでした。
「あのお爺ちゃんにも」
「誰にだってあるよ」
 お婆さんは優しい声で男の子に教えました。
「それはね」
「そうなんだ」
「それでね。今は」
「今は?」
「タイムマシンを作ってるよ」
 男の子にこのことも教えました。
「タイムマシンをね」
「それ何?」
「時間を旅行できるものだよ」
 またわかりやすいように言いました。
「それはね」
「時間を旅行できるの?」
「それに乗りたいの?」
「うんっ」
 満面の笑顔をここでお婆さんに向けて答えたのでした。
「すごく。楽しそう」
「だったら。自分で作るんだよ」
「僕が!?」
「そうよ」 
 優しい声で男の子に言うお婆さんでした。ここでも。
「自分でね。お爺ちゃんもそうだったし」
「お爺ちゃんもなんだ」
「欲しいものは自分で作る」
 お婆さんは言います。
「だからだよ。いいね」
「自分で作るんだ」
 男の子はお婆さんの今の言葉を聞いて考える顔になりました。
「そうなんだ。自分で」
「欲しいものはね。何でもね」
「お爺ちゃんはそうしてきたんだね」
「そうやって凄い発明家になったんだよ。だったらあんたもね」
「うん、それじゃあ作るよ」
 男の子はお婆さんの言葉に頷いて明るい声で述べたのでした。
「僕も。自分でね」
「作るんだね」
「欲しいものはね」
 そのことをまた言いました。
「作るよ。自分でね」
「そうだよ。自分でね」
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