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機動戦士ガンダムMSV-エクリチュールの囁き-
74話
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ス》の火砲がマズルフラッシュを迸らせる寸前、《リックディアス》に驚愕が灯る。
 瞬間、爆炎が膨らんだ。その劫火は《リックディアス》の腕を吹き飛ばし、たたらを踏んだ巨体がビルの陰から身体を晒す。
 迷いは無かった。狙うは一撃、頭部に照準レティクルを重ねるのとほぼ同時にグレネードランチャーのトリガーを引いた。
 機関砲のバレルの下の武装ユニットから吐き出された弾頭は《リックディアス》の頭に過たずに吸い込まれた。超高圧縮された金属はさながら液体的に演舞し噴射され、ガンダリウムγ合金の装甲に風孔を穿つ。次いでコクピットに侵入した爆風で、間違いなくパイロットは無残な挽肉と化した。
(トムキャット01、聞こえているか)
「この声は―――」
 遺骸となった《リックディアス》の影から何かの機影が飛び出す。
 《ドラケンE》。機械化装甲歩兵用の装備としては既にメジャーになりつつある戦闘用のプチモビだった。左腕部に対MS用榴弾を装備した《ドラケンE》のキャノピーの向こうに、オーウェン・ノースロップの姿があった。
(スカウターの処理は任せろ。お前はMS掃討に専念しろ)
「了解!」
 《ゲルググ》の足元を《ドラケンE》が駆け抜けていく。
 戦域マップを一瞥。敵機の光点(ブリップ)を認めたクレイは、戦域マップ上に存在する護衛目標の光点に立ちふさがるように、その方向へとスラスターを焚いた。
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