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機動戦士ガンダムMSV-エクリチュールの囁き-
43話
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 4機のMSが閃光を引いて、デブリの海を泳ぐ。
 MSA-004K《ネモV》。深い藍色に身を包んだ機体のうちの1機、そのパイロットは忙しなく視線を動かしていた。視界を流れる廃棄物や岩塊がこつこつと鼓膜を不快に突く―――。
 ビープ音が傲然と鼓膜を打ち鳴らしたのはその直後だった。四方から鳴り響くロックオン警報、インコムと理解した体躯が即座に攻撃端末を捉えようとした瞬間だった。
(ソード03、上だ!)
 中隊長の怒声に釣られるようにして全天周囲モニターの映像を見上げた男の視界に、それは映った。
 真紅に染め上げられた荒武者の双眸がソード03を射抜く。咄嗟にインコムに対処すべきなのか、母機に対処すべきかの判断が絡まる―――それが、もはや致命傷だった。
 当たればそれだけで死に至る巨大なデブリの中、戦闘速度を全く落とさぬままに突撃する《ガンダムMk-V》がビームライフルを構える。ロックオンからほぼタイムラグ無く放たれた灼熱の閃光が《ネモV》の左肩を射抜く。
(ソード03、左腕部に致命的損傷、損傷部の動作不能を確認。背部スラスターユニット及び―――)
 オペレーターの損傷報告は無駄だった。すれ違いざまにシールド裏から発振されたビームの刃が《ネモV》を一刀の元に両断し、オペレーターは撃破判定と言い直した。
 ※
 微かに揺れるコクピットの中で、クレイはヘルメットを脱いだ。首元のアタッチメントに接合されたヘルメットは無重力下でもヘルメットがどこかへ行ってしまわないようにするために工夫だ。背後でぷらぷらと揺れるヘルメットは気にせず、コクピット中の小物入れから青いタオルを取り出し、顔を拭う。荒い感触のタオルだ。連邦軍にはもうちょっとましなものを支給してもらいたいのだが―――税金を無駄には出来ない、という奴か。
 舌打ちした。無意識的にエレアの涙が脳髄を満たしていくのを自覚した。MSの操縦中はそれどころではないけれど、平時になった途端に彼女の顔を思い浮かべてしまう―――。
 タオル以外碌に何も入っていない足元の収納スペースの蓋を足で閉めるころには、オートパイロットで駆動していた《ガンダムMk-V》はトレーラーに保持されていた。後は宇宙空間での演習のために作られた専用の格納庫から、コロニー内の格納庫へと運んでいくだけだ。コクピットハッチを解放し、重力下故にコクピットから物憂げに這い出した。
 ハッチの先端に装備されたワイヤーをおろし、命綱で固定。足場としてつくられた輪っかに足を通すと、ゆっくりと降下し始めた。
 重力下において、地上20m付近からロープ一本で降りるというのも慣れないと恐ろしいものだ。初めてMSに乗った時はどうやって降りていいのか途方に暮れたものであるが、それももう数年前の出来事である。
 慣れた動作で下まで降りると、あとは自動にワイヤ
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