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機動戦士ガンダムMSV-エクリチュールの囁き-
7話
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「全力でやるのは構わないんですけど、もっと優しく使ってほしいのですけど?」
「本当だぜ。《ガンダムMk-V》だって安くないんだぞ?」
 両脇を技術屋に固められる―――2人の険阻な面持ちは、クレイを委縮させるには十分だった。
 ガントリーに押し込められた漆黒の《ガンダムMk-V》の前にかかるキャットウォーク上。ヴィセンテとモニカの刺々しい声を浴びせられながら、クレイは眼前に佇むデュアルアイの顔を見やった。
 ORX-013―――現在、ORX-013"SR"としてサナリィが試験運用する《Mk-V》は、元々はグリプス戦役と呼ばれる一連の内紛の折に開発されたMSだ。地球連邦軍の有するニュータイプ研究所たるオーガスタによって開発された本機は、本来量産型として開発された経緯を持つものの、量産体制を断念してからは新技術を盛り込んだ技術実証機へと変わり、3機がくみ上げられ数機が予備機として生産された。内1機は『ペズンの反乱』の折にニューディサイズで使用され、内1機は戦後処理の慌ただしい中所在不明。内1機は実戦試験を行った後、予備パーツと共にモスボール処理されたと言われるが―――。
「聞いてんのか?」
 男性の割に黒髪を長く伸ばしたヴィセンテが詰め寄る。「聞いています! 聞いていますとも」と顔を引きつらせながら声を張り上げたクレイは、身を固くした。
「《ゼータプラス》のベンチマークとして追加で生産して使わせてもらっているんですから。贅沢に使えるほど数がないんですよ」
 烈火のごとき怒り、というほどの様相ではなかったが、それでもモニカが鼓膜に刺さる声を張り上げる。クレイはしょぼくれた声で、はい、と応じるしかなかった。
 モニカ・アッカーソン17歳。6歳年下の女性―――少女相手に叱られるという情けなさと惨めさを味わいながらも、モニカの内心を知れば仕方ないとも思った。それだけに、クレイは何も言うに言えずに口を噤んだ。
 第666特務戦技評価試験隊は、サナリィと地球連邦軍が合同で行う試験を請け負う試験部隊で、そもそもは教導隊ではないというやや特殊な趣を持つ。その後、紆余曲折あって試験部隊兼教導隊という奇妙な体制が出来上がるのだが、今はどうでもいい話―――モニカは、この部隊に出向したサナリィの人間だ。サナリィの資産たる《Mk-V》をあまりにも無碍に扱われては心穏やかではないということだ。
 心労を吐き出すように鼻息を吐いたモニカは、しかし「でも良かったです」と固さの中に柔和を覗かせた声を出して、手すりに背中を預けた。
「期待していたよりは腕はよさそうですし」
「そうっすねぇ。流石はトップガンて奴?」
「はぁ……?」
 ふてくされたように言いながらも、声は自然と上ずった。褒められることは悪くない―――なんでそこでトップガンなんだ、とは思うが。
「良いです、
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