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歌集「春雪花」
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 肌寒き

  晩夏の雨の

   そぼ降りて

 濡れし心の

     君ぞ求めし



 夏の終わりにシトシト降る雨は、秋の始まりを告げる様に肌寒い…。

 そんな雨の音に心まで濡れてしまうかの様で…ふと気付けば彼のことばかり考えてしまっていた…。

 彼と一緒にいたい…叶わぬ願いは晩夏の雨に冷されて…。



 君 恋し

  愁う心は

    雨ざらし

 よけし小陰も

     なきし雨空



 こんな雨の日は、ひときわ彼が恋しくて堪らなくなってしまう…。

 そんな物悲しくなった心は、この雨に晒されて逃場もないかのようで…見上げれば雨空があるばかり…。

 私の心には誰も…この雨を防ぐ少しばかりの小陰さえ作ってはくれられないのだ…。

 彼だけが…私の心に小陰を作ってくれたのだ…。




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