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謎比べ
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第一章

                       謎比べ 
 スウェーデンのある村においてです。一人の農夫が畑を耕していました。
 その時にです。自分の奥さんにこう言いました。
「おおい」
「おおいじゃわからないわよ」
「おおいといったらあれだよ」
 まずはこう返す彼でした。
「あれじゃないか」
「あれって?」
「イモだよ」
「ジャガイモ?」
「それはないか?」
 それを欲しいというのです。
「今からこの畑に入れるからな」
「ちょっと待っててね」
 すぐに女房から返事が返ってきました。
「家の中まで取りに行ってくるから」
「ああ、頼むな」
 こうして奥さんは家の中に戻りました。農夫はまた畑を耕し続けます。そこにです。
 小さくて丸々と太った中年の男がやって来ました。お鼻がやけに大きく顔と同じ位の大きさがあります。本当に大きなお鼻です。
 その男がです。農夫の前に来て言うのです。
「なああんた」
「わしのことかい?」
「そう、あんただよ」
 笑顔でこう農夫に言うのでした。見れば服は農夫と同じもので頭には三角の赤い頭巾を被っています。農夫を見上げて言ってきています。
「あんただよ」
「わしに何か用かい?」
「用があるからこうして話しかけるんじゃないか」
「まあそれはそうだな」
 農夫も男の今の言葉には頷きます。確かにその通りです。
「それはな」
「そうだろ。それでな」
「ああ、それで?」
「その用なんだが」
 にこにことしてです。農夫に言ってきます。
「謎々をしないか」
「謎々?」
「そう、それをだよ」
 こう農夫に言うのです。
「どうだい、それは」
「おいおい、謎々なんかしてどうなるんだよ」
 農夫は男の言葉に首を傾げさせて返します。
「何にもならないんじゃないのかい?」
「何言ってるんだよ、楽しいじゃないか」
「楽しい?」
「そうだよ、謎々はね」
「楽しいっていうのかい」
「そうだよ。とてもいいものだよ」
 これが男の言葉です。
「だからどうだい?今からね」
「そうかな」
「それともあんた。謎々は嫌いかい」
「嫌いじゃないな」
 農夫は素直に答えます。実際のところ謎々は嫌いではありません。子供の頃はよくそれで遊びました。それなりに自信もあります。
 それで、です。こう男に言いました。
「それじゃあ」
「やるんだな」
「負けたら何かあるのかい?」
「負けたらかい」
「何かあるのかい?その時は」
「そうだな。負けた方が」
 男は笑ってです。その時のことを話すのでした。
「ビールを奢るってのはどうだい」
「ビールをかい」
「お金とかそういうのはいいんだよ」
 男はそれはいいというのです。
「わしにとっちゃな」
「わしは欲
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