第六章
[8]前話
「彼等は」
「戦車が前面に出ています」
「ドイツ軍の様に」
「はい、そうです」
まさにというのだ。
「彼等もまた」
「また戦車か」
「左様です」
「もう戦車の時代なのかもな」
苦い顔でだ、ナストゥラは言った。
「馬ではなくな」
「まさか。その様な」
「私も信じられないが」
ナストゥラは深刻な顔でマリシュに言った。
「戦車の方が強いのは確かだな」
「はい、そのことは」
「先の戦闘で敵の戦車が二号戦車だったらどうだった」
一号戦車でなくだ。
「あの様に戦えていたか」
「いえ、そう言われますと」
マリシュも返答に窮して返す。
「無理でした」
「そうだな、二号戦車では無理だったな」
「はい」
「騎兵では戦車には勝てない、ましてや空からの攻撃にはな」
「どうしようもありませんね」
「だからだ、もう馬ではなくな」
「戦車の時代ですか」
マリシュはそのことがどうしても信じられないといった顔だった。
しかしだ、ナストゥラはその彼に言うのだった。
「我々は最後だったかも知れない」
「最後といいますと」
「最後の騎兵隊でだ、最後の騎兵突撃をしたかも知れないな」
「そうなのですか」
マリシュは苦い顔のまま応えた、だが。
彼等はナストゥラの言う通りこれが最後の突撃となりポーランドの降伏を迎えた、だがそれぞれ色々あったがナストゥラ達は大戦が終わるまで生き残ることが出来た。
しかし赤化した祖国の軍で彼等はもう誰も馬に乗らなかった、騎兵隊は最早完全に過去のものになってしまっていた。
最後の突撃 完
2015・5・24
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