彼とマケンとホッケー対決
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「えーと、アイツは何処に居るのかねぇ」
マケン鍛冶師である玄は今、何やら宝玉の様な物を片手に持って、学園の敷地内をウロウロしていた。
言葉から察するにどうやら人を探している様だが、天日学園はこうくないであろうと敷地内であろうととにかく広い。特定個人を探し出すのは、生徒たちの目撃情報を頼りにしようとも、それなりに難しいと言える。
まあ、まだ放課後に入ったばかりなので焦る事はないだろうと、玄自身も走ったりはせず人影を見落とさぬよう、歩きながら見回していた。
「お、ちょっといいか!?」
「えっ……? あ、先生」
途中で玄は1人の生徒を見つけ、歩みを止めて少し考えた後、情報提供を求み声をかける。
数秒立ち止まっていたのは、自身の記憶を掘り返す為だ。目の前の少年は見覚えはあるものの、大分影が薄かったので、思い出すのに少し掛かったらしい。
そんな彼の名は薄野蔭白。見覚えがある理由は……実は碓の友人だからである。
「大山の奴を見なかったか? ちょっとアイツに用事があってな」
「お、大山君なら……碓君と一緒に、い、諍いを止めに行きました……あっちへ」
植え込み向こうの第二広場を指差した薄野に玄はお礼を言うと、早足でそこまで歩いて行く。
話から既に海童への要件で探しまわているのが分かったが、一体何の用事で彼を探しているのだろうか。
教員自ら出向くのだから、それとなく重要なことには間違いない。
中々の距離を歩いたか、見つかった事の嬉しさを隠そうともせずに、玄はスキップでもしそうな足取りと、決して奇妙な感じの無い少年染みたニヤけ顔で歩みを進めた。
すると―――
「ぬおっ……何じゃこの揺れ?」
―――行き成り轟く“ズウウゥゥゥゥン…………!”とした地鳴り。
何の脈絡もなく、微弱なれど大地が上下に震えた。堅いトランポリンでも踏みつけた様に、玄の体が飛び上がる。
それ以降は余震らしきものも無い。
が……余りの唐突さから何が起きたか、彼は察しがついていた。
しかし、釈然としない物が一つ。
(そういやさっき影みたいなものが上空に有った気がするが……気の所為か?)
思いながら上を見るが、当たり前とでも言うべきか、青空の中には優雅に飛んでいるモノや驚いて飛び出したモノ含め、鳥の影しか存在しない。
大方太陽にたまたま鳥が重なったのが、先程の地震だったのだと値を付け、玄は再び歩き出す。
暫くして。
玄から見て右方向の道から、頭をさすっている海童と何やら怒り顔の春恋、そして彼の悪友である碓が痛そうだと言わんばかりな顰め顔をつ
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