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ドリトル先生と森の狼達
第十幕その二
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「終戦直後からだね」
「第二次世界大戦のですか」
「これから民主主義になった、何を言っても自由になってそれで処罰されないって思って」
「それはいいことですよね」
「けれど処罰されない、このことを責任を問われないって都合よく解釈した人が多かったんだよ」
「何を言ってもいいと」
「それこそどんな嘘を言ってもね」
 そうした悪いことをしてもというのです。
「責任に問われないって思った人が多かったんだよ」
「日本の知識人は」
「あと共産主義が一気に広まって」
 このこともです、先生は知っていました。
「それを広める為には何をしてもいいって人も多かったんだよ」
「いや、それは」
「違うって思うね、トミーも」
「幾ら自分が正しい、素晴らしいって思う考えでも」
「それを広める為に嘘を言ったりしてはいけないね」
「そうした嘘はよくないですよ」
「そうだよ、正しいことをしていると自分で思っても」
 ここで先生はトミーだけでなく皆に真剣なお顔で言いました。
「それで暴走したり嘘を言ったらね」
「それだけで駄目だよね」
「魔女狩りとかでもそうだし」
「戦争でもだよね」
「そこでもう正しくなくなるよね」
「正しいことをしているつもりでも」
「自分で正しいことをしていると思ったらもうアウトなんだ」 
 最早その時点で、というのです。
「相手は間違っていると思って相手にどんな悪いことをしても平気になりかねないからね」
「それでなんだ」
「日本の知識人っていう人はおかしな人が多いんだ」
「マスコミにしても学者さんにしても」
「そうなんだね」
「そう、そうした人達をあそこに入れたら」
 先生は本当にこのことを心配しています。
「大変なことになるから」
「発表するかどうか」
「そのことを悩んでしまうんだね」
「どうしても」
「そういうことだね」
「そうだよ、どうしたものかな」
 先生は心からです、狼さん達のことを思って言うのでした。
「一体」
「だからね」
「ここはね」
「日笠さんに相談しようよ」
「是非ね」
 動物の皆は森の中にいた時に先生にお話したことをここでも言いました。
「あの人なら相談に乗ってくれるよ」
「先生のお願いならね」
「そうしてくれない筈がないよ」
「間違いなくね」
 それが何故かはあえて言わないです、先生が気付いてくれないことはわかっていますしここでお話すうるとややこしくなるからです。
「あの人ならだよ」
「絶対に先生の相談に乗ってくれてね」
「そして答えを出してくれるよ」
「間違いなくね」
「そうだね、じゃあ明日日笠さんに相談してみるよ」
 先生も皆のその言葉に頷いて明るいお顔になりました。
「それがいいね」
「うん、じゃあね」
「明日日笠さんと相
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