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ストライク・ザ・ブラッド〜原初の生命体たる吸血王〜
聖者の右腕
#2
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ぇ?」
「吸血鬼――それも旧き世代≠フ眷獣を威圧するだけで怯えさせる者の台詞ではないな」


 そう言いつ言われつつ、フランはスリッパを脱いで自身の両足の裏を見る。実は先程、槍を踏みつけた際に刃を踏んだ事もあってか、靴と靴下ごと斬れて足の裏の中央に一筋の赤い線が入っていた。
 塞がり始めてはいるものの、その時履いていた靴と靴下は目出度くゴミ箱に没シュートされる事に相成った訳だが。

 吸血鬼――それも真祖の治癒力を以てすれば、掠り傷程度は瞬きの速度より速く治るのだが、今回は大分と遅い。一般人の治癒速度(ソレ)と比べても遅すぎである。ガジュマルと変態獣人と槍を振り回すストーカー少女が揉め事を起こしたのが――ひいてはフランが傷を負ったのが真昼間の13:30。現在の時刻は19:00。四時間半も経っているのに傷が痂にすらなっていないあたり、流石は獅子王機関の秘奥武装≠ニ言ったところであろうか。と、言うか、真祖の眷獣並の一撃を与えないと傷を負わないと言われている第零真祖にコラテラル・ダメージ(致し方なし)として放置できる程度とは言え、傷を負わせる辺り、流石は七式突撃降魔機槍シュネーヴァルツァー(対吸血鬼戦闘に特化した世界に三本しか存在しないと言われる破魔の槍)である


 七式突撃降魔機槍シュネーヴァルツァー
 件の尾行少女(ストーキングガール)使用し(振り回してい)武器()の総称であり、神格振動波駆動術式≠ニ呼ばれる、魔力無効化術式を組み込まれた世界に三本しかないと言われる武装である。人間が魔族に対抗するために生み出したのだが、古代の宝槍を核とし、超絶高度な金属精練技術を用いて錬成する必要がある故に、数は少ない。と言うか、世界中探しても三本しか無いらしい。


「全く。下着を見られた程度で殺人――(いや)、魔族殺し未遂をやらかすとはな」
「何だかんだ、女の子なんだろうよ」


 何時もより辛辣だねぇ、商売敵だからって。等と考えながら、暖かい目を那月に向けるフラン。無論、那月に気付かれる様なヘマはしていない。


「と言うか、ツッキーも昔は(つむじかぜ)でスカート捲れ上がって下着見られたっつって、クラスメイトの男子数人半殺しにしてなかったか?」
「む、昔の事を掘り返すな! って、例のアレはバラ撒いていないだろうな!?」
「安心しろ。例のアレはツッキーとアヤヤと私、あと私の従者達と眷獣達だけの秘密だ」
「おいッ! 最後のなんだ!? 途轍も無く不安なんだが!?」
「安心しろ。私はばら撒く気は無いし、眷獣達は私以外と意思疎通無理だし、従者達とアヤヤは――な?」
「………そうだったな。阿夜とお前の従者達は――」
「おっと、そこまでだ那月(・・)    (あの牢獄)≠フ事は言う
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