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真田十勇士
巻ノ八 三好伊佐入道その六

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「しかし。とてつもなき者になるぞ」
「天下は握れぬにしても」
「それでもですか」
「相当に大きな者になる」
「左様ですか」
「そうじゃ、あの御仁とは敵としては会いたくない」 
 留吉も言うのだった。
「恐ろしい敵になるのは間違いないからのう」
「他の十二神将の方も仰っているそうですが」
「真田幸村殿、そこまでの方ですか」
「忍術において半蔵様に匹敵し」
「他の術も相当なもの」
「まことに恐ろしい方なのですな」
「そう思う、ではわしはこれより越前に向かう」
 近江から北のその国に向かうというのだ。
「ではな」
「では我等も」
「それぞれの場所に向かいます」
「調べる様に言われた場所に」
「頼むぞ、さて越前の柴田殿は嫌いではないが」
 柴田勝家のことも話すのだった。
「危ういであろうな」
「はい、織田家への忠義を貫かれていますが」
「羽柴殿に押されていますな」
「あの方は実直に過ぎまする」
「愚直なまでに」
「その愚直さが仇となる」
 柴田にとってというのだ。
「それ故にじゃ」
「危ういですか」
「ではあの方は敗れますか」
「羽柴殿との戦になれば」
「なるであろう、残念なことじゃがな」 
 留吉はここで唇を噛んで述べた。
「そして滅びるわ」
「剛力殿は柴田殿がお好きですか」
「お嫌いではないとのことですが」
「ああした御仁は好きじゃ」
 実際にとだ、彼も答えた。
「強く、そして実直なのがよい」
「そこは剛力殿と同じですな」
「双刀殿、土蜘蛛殿とも」
「うむ、わしは確かに同じ十二神将の中でもあの二人とは馬が合う」
 実際にとだ、留吉は笑って忍達に答えた。
「気質や戦の仕方が似ておる」
「力ですな」
「それをよく使われるからですな」
「わしが一番力を前に出すが」
 それでもというのだ。
「あの二人もな」
「はい、豪です」
「お強いです」
「真田殿のところにいたあの坊主も面白そうじゃな」
 清海のことにもだ、留吉は気を向けた。
「また会いたいのう」
「敵ではなく味方として」
「そのうえで」
「お会いしたいのですな」
「そうしたい、ではな」
 ここまで話してだ、そしてだった。
 留吉は山から消えた、他の忍の者達も。するとそれまで怯えていた獣達の気配が安堵したものに変わった。
 幸村一行は寺に入った、その寺は険しい山の奥深くにありだ。
 静かな造りで閑散としていた、その寺を見てだ。
 清海は意外といった顔でだ、こんなことを言った。
「意外と整っておるのう」
「こんな山奥にあるからどれだけ荒れ果てておるかと思っておったが」
 海野も言う。
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