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藤崎京之介怪異譚
case.5 「夕陽に還る記憶」
X 3.5.PM6:31
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る一地域の詳細な地図じゃないとダメなんだ。だから、天下の天宮さんを頼ったんだよ。」
 俺が美桜に言い訳を並べていると、再び電話が鳴り響いた。どうやら今度はFAXのようだった。
 俺は天宮氏が何か言い忘れたことでも送ってきたのかと思ったが、美桜と共に出てきた用紙を見て首を傾げた。
「何だ…これ?」
 俺はそれを手に取ってよく見ると、どうやら手書きの楽譜のようだ。
「これって…べートーヴェンの悲愴ソナタよねぇ…。」
 横からそれを覗き見ていた美桜が言った。確かに、この楽譜は悲愴ソナタの第一楽章だ。その一部に書き誤りがあるが、これは悲愴ソナタだとわかる。
「これ…採譜したものかしら?丁度聞き取りにくい箇所に間違いが集中してるし、どう見ても手書きですものねぇ。でも、どうしてこんなのがFAXで?」
「さぁな…。」
 俺はそう言いながら送信元を見ると、そこに不思議な番号と数字を見た。 俺が使っているFAXには、上に送信元とページ数が表示されるのだが…明らかに番号の桁数が少ないのだ。それに、ページ数が0-0で表示されているのだ…。
「美桜…FAXって、0-0って表示あったか…?」
「いいえ…そんなのあるはずないわよ…。」
 じゃあ、この楽譜は何なんだろう…?俺と美桜はただ、その悲愴ソナタの楽譜を、黙して見つめるしか出来なかった…。




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