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黒魔術師松本沙耶香  人形篇
5部分:第五章
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らないでしょうか」
「それはこれから次第ですね」
 二人は歩きながら話をしていた。校舎は白いが廊下は木製で黒い。沙耶香の服はそこに溶け込んでいる様に見えた。まるで影から浮き出ているかの様であった。
「私次第です」
「ではお願いしますね」
「これが仕事ですからね」
 沙耶香は淡々とした言葉で述べた。
「そのかわりまた夜には」
「それは・・・・・・」
 絵里はその言葉を聞いて俯いて頬を赤らめさせた。昨夜のことを思い出したのである。
「ふふふ」
 沙耶香はそんな絵里の顔を見て微笑んだ。あの妖艶で何かに誘い込む様な笑いであった。彼女は絵里のそんな顔を楽しみながら教室を進んでいった。そして二人は理事長室に着いた。
「こちらです」
「はい」
 絵里に案内され部屋に入る。そこは赤い絨毯が敷かれた綺麗な部屋でありその中央には黒檀の大きな執務用の机があった。右手の棚には無数の表彰状やトロフィーが置かれている。学校の常としてこうしたものは飾られている。その側には旗が掲げられている。校旗だ。
 左手には日章旗があった。国旗も校旗も綺麗なものであった。非常によく手入れされていた。
 そこまで見回したところで絵里が理事長に頭を垂れた。
「おはようございます」
「はい」
 大人の女の声がした。だが執務用の机にはまだ誰もいなかった。声は左の方から聞こえてきていた。見ればそこでコーヒーを入れている妙齢の女性がいた。

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