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黒魔術師松本沙耶香  人形篇
22部分:第二十二章
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第二十二章

「今は御容赦下さい」
「何かあるのですね」
 理事長は沙耶香の目を見てそれを察した。
「そしてそれは通常の世界では有り得ないこと」
「ですから私がここに呼ばれたと思いますが」
 その言葉に対して沙耶香はこう返した。
「普通の事件ならば。私は呼ばれはしません」
「はい」
 これには絵里が応えた。
「私も理事長もそう感じたからこそ」
「ですね。そしてそれを今ここでお話しても貴女達を混乱させることになると思いまして」
 だから今は犯人に関しては言わないのであった。
「ですが御安心を。一連の事件は既に解決したも同然です」
「左様ですか」
「はい。私の魔術に勝てた者はいません」
 沙耶香の唇が微かに歪んだ。そして笑った。
「ただ一人。対抗出来る者はいますが」
「それはどなたですか?」
「おっと失礼」
 沙耶香は失言を詫びた。
「関係のないお話でした。まあ一人の占い師ですが」
「そうなのですか」
「変わった人でしてね。私とは何かと縁があります」
「はあ」
「まあ今はここにはいませんので。そのうち機会があればお話させて頂きます」
「わかりました」
「そして事件に関してですが」
「はい」
 理事長の声に顔を向けた。
「解決は間も無くなのですね」
「先程申し上げた通りです」
 沙耶香はまた答えた。
「明日にでも」
「わかりました。では最後までお任せします」
「有り難うございます」
「是非共。解決して下さいね」
「お任せ下さい」
 こうして沙耶香はこの日はこれで学園を後にした。実は絵里から誘われたのだがこの日はやんわりと断った。そして夜一人バーで飲んでいた。
 煙草をふかしカウンターに座っている。薄暗く大人のムードの店の中でたたずみ注文したカクテルを待つ。その間彼女は特に何も考えずカウンターにあるグラスを見ていた。
 グラスは店の弱い光を反射させて輝いていた。そして彼女はそれを見ながら煙草を吸っていた。煙草の青い煙がその弱い光の中に漂う。そして口から白い煙を吐き出した時にカクテルがやって来た。
 しかしそれは彼女が頼んだカクテルではなかった。彼女はスティンガーを頼んだ。だがやって来たのはフローズン=ベリーであった。赤紫のカクテルであった。
「注文が違うわよ」
 沙耶香はそれを見てバーテンに対して言った。
「それとも貴方のおごりかしら」
 このバーテンとは顔馴染みである。目だけで笑ってこう尋ねた。
「残念ですが私のおごりではありません」
 そのバーテンはダンディな物腰でこう答えた。
「ある御客様からもおごりです」
「誰かしら」
「それは・・・・・・あっ」
 バーテンは左側を向いて声をあげた。
「もう店を出られたようです」
「そうなの」
 沙耶香は目の前にや
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