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黒魔術師松本沙耶香  人形篇
17部分:第十七章
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「そして何人か」
「捜査と関係があるお話ですよね」
「勿論」
 沙耶香は答えた。
「だからこそ御聞きしたいのですが」
「わかりました。それでは」
 シスターミカエラは高等部にいるシスターに関して話した。その中にはミカエラ自身もおり、そしてシスターデリラもいたのであった。
「あの方もおられたのですか」
「はい、教義の先生でもあります」
 シスターミカエラはこう答えた。
「教義!?」
「キリスト教の教義のことです」 
 彼女は沙耶香にこう説明した。
「私もそうなのですが」
「では同僚というわけですね」
「そうですね。私もシスターデリラも神にお仕えする者です」
「勿体無い」
 それを聞いてふと本音が出てしまった。彼女にとってはシスターであっても御馳走となり得るのであるがそれでも機会があれば、である。その機会さえも奪われているからこその言葉であった。
「勿体無い?」
 シスターミカエラはそれを聞いてキョトンとした顔になった。
「何が勿体無いのでしょうか」
「いや、こちらの話です」
 だが沙耶香はそれは誤魔化した。
「何でもありません。御気になさらずに」
「わかりました」
 何か釈然としないものを感じていたが追求するつもりもなかった。
「シスターデリラもおられるのですね」
「そうです」
 もう一度確認して確かな返事が返って来た。
「左様ですか」
「それで宜しいですか?」
「はい」 
 沙耶香は答えた。
「どうも。有り難うございました」
「いえいえ」
 これで二人は別れた。そして沙耶香はまた人形部の部室に向かった。
 既に放課後になっておりあちこちで帰る生徒や部活に向かう生徒達がいた。彼女達は沙耶香の姿を認めてヒソヒソと話をしていた。
「綺麗な人よね」
「本当。それに格好いい服」
 そんな話だった。沙耶香の端麗な容姿に目がいっているのだ。
「宝塚の人かしら」
「モデルかも」
 だが彼女はそれには構わなかった。今はそれよりも大事なことがあったからである。
 人形部の部室に入った。見ればもう真由子がそこにいた。
「またいらしたんですね」
「そうよ」
 沙耶香はこう言って真由子に挨拶を送った。
「こんにちは」
「はい、こんにちは」
 真由子も沙耶香に挨拶を返した。それから言った。
「何の御用ですか?」
「人形を見せてもらいたくて」
 沙耶香は真由子にこう言った。
「人形ですか」
「ええ、顧問のシスターデリラの人形をね。いいかしら」
「わかりました。ではお出しします」
 真由子はそれに応えてソファーから立ち上がった。それから奥の棚から人形を数体取り出してきた。
「こちらです」
 そしてそれ等の人形をテーブルの上に置いた。そのうえで沙耶香にそれを見せた。

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