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黒魔術師松本沙耶香 妖女篇
8部分:第八章
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第八章

「私がそれをよしと言えば」
「それで話は終わりよ」
 今度は素っ気無く述べてみせた沙耶香であった。
「何もかもがね。ハッピーエンドになるわけよ」
「そうね。それでは」
 その一つの答えを聞いたうえでだった。女は沙耶香に対してさらに問うてみせるのだった。
「私がそれをよしと言わなかったとしたら」
「その場合の答えは決まっているわ」
 悠然と笑いながらの言葉だった。
「貴女を倒してそれで」
「美女達を解放するのね」
「どちらにしろ美女達は解放させてもらうわ」
 それは譲れないというのである。
「貴女がどう思おうと何をしようとね」
「そうなのね。それでは」
「返答は?」
「決まっているわ」
 静かな言葉だった。右手の人差し指に出している青い火はそのまま燃え続けている。それがさながら人魂の様に見える。
「既にね」
「そう。では聞かせてもらおうかしら」
「この世の美女は私のものよ」
 これが返答だというのだった。
「そして私は一度手に入れたものは手放しはしないわ」
「そういうことね」
「私のことは貴女ならわかってくれていると思っていたけれど」
「わかっていたわ」
 それは快く認めた沙耶香だった。
「よくね」
「では聞くまでもないことではなくて」
「聞いたのよ。念の為に」
 こう返してみせた沙耶香だった。
「それだけよ。それじゃあ」
「貴女と戦うのも暫く振りね」
「そうね。だから楽しみよ」
 言いながらだった。沙耶香は右手を一閃させる。するとそこから紅の雷が出て来てそれが忽ちのうちに鞭に変わったのであった。
「行くわよ」
「いいわ。じゃあ」
 女がその青い火を一瞥した。するとそれだけで彼女の周りに無数のその青い火が生じてきたのであった。
 その青い火が一つ、また一つと動いていく。それは女を中心に螺旋状に動き沙耶香に向かって来たのであった。
「青い火が」
「そうよ」
 その螺旋状に来る青い火の群れの向こうで女の笑みがあった。
「この青い火、かわせるかしら」
「かわす必要はないわね」
 沙耶香はその雷の鞭を手にしたまま言葉を返した。
「別にね」
「そう。かわさないのね」
「何故ならよ」
 こう言いながらであった。その手に持っている鞭を動かした。それはさながら動物の、それも蛇の様に動きそのうえで火を打ち消してみせたのだ。
 それは一瞬だった。一瞬で全ての火を打ち消した。沙耶香はそうしたうえでうっすらと笑ってみせるのであった。
「どうかしら」
「流石ね。また腕をあげたわね」
「貴女の陰陽道と同じで私の魔術もまたその強さを増していっているのよ」
「そうね。それは確かね」
「だからよ。この位はね」
 造作もないというのである。
「さて、それでだけれど」

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