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魔法少女リリカルなのは ViVid ―The White wing―
第三章
ニ十三話 破壊の宿業  [壱]
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あ、相棒熊です!小熊です!]
「んなこと分かってるよ!」
念話も忘れて怒鳴るクラナの頭の中は、既にエマージェンシーである。デンジャーである。ワーニングである。レッドアラートである。と言うか動物園以外で熊を見たのなど初めてだ。こういう場合どうすればいい?対処法が全く思い浮かばない。いやと言うかこの局面に至ってはっきりした対処法が分かる人がいるなら教えてくれと言う話である。

[と、とりあえず死んだふりです!]
「小熊相手に!?」
いや流石に意味が無いだろう。と言うかお前デバイスなんだからもう少し論理的な対処法の一つでも出してくれと思い始めて、闘うか逃げるかを真剣に思案し始めた、その時だった。

「ん?あー、君、またきたん?」
「!?」
突然離れた場所で顔を洗っていたジークリンデが、顔を拭いて此方にやってきた。何と全く警戒する様子も無くトコトコと近付いて行くので、クラナは焦った。

「ちょ……!」
[ジークさん!危険ですよ!?子供とは言え熊ですし母熊がきっと近くに……!]
「え?あぁ、平気や。こわがらんでええよ。この子とこの子のお母さん、ウチの友達やから」
「と、友達……?」
首を傾げたクラナの前で、ジークが小熊に向けて無造作に手を伸ばす。すると、小熊は嬉しげにその手に頬を摺りつけ出した。

「う、わ……」
[驚きました……とても懐いてらっしゃるのですね……?]
「んー、まぁ、こういう所ばっかりに行ってるせいかもしれへんけど、何となく、こういう子たちと友達になるのが好きなんよ」
小さく微笑んで、ジークは小熊を撫でる。小熊はそれを気持ちよさそうに受け入れると、食べ物の方に興味を示したようで、鼻をひくひくとさせ始めた。

「あはは……君は食いしんぼさんやからなぁ」
そんな事を言いながら、ジークは小熊に傍らにあった木の実をあげていく。小熊は少しふんふんとキノコの匂いをかぐと、嬉しそうに両手で器用に食べ始めた。
と、小熊の前にかがみこんだままで、ジークは小首を傾げる。

「そう言えば君、お母さんはどうしたん?何時もは一緒やのに……」
「は、母熊も友達……?」
「うん、せやね」
何でも無い事のように笑いながら、ジークは答えた。何と言うか、普通に凄い事を言うなとクラナは改めて理解する。格闘技が強い、それ以外は別段変わった所も無い少女だと思っていたが、育った環境だろうか?どうやらただそれだけと言う訳ではなさそうだ。
と、その時不意に、小熊が出て来た草むらと同じ辺りが、ガサガサと揺れた。

「あ、ほら、出て来る」
「えっと……」
なんで熊が出て来るって言うのにこんなに危機感無く居るんだろう……そんな風に思いながら、クラナが頬を書いてその其処を見る。出て来たのは、立派な母熊だった。二本脚で立ち上がれば3mは確実
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