A's編
第三十三話 中
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闇の書がなのはちゃんに倒されて、なのはちゃんが位相空間から戻ってきて、事態が落ち着いたのは、それから一時間ぐらいだった。
なのはちゃんは、僕と少し話した後にすぐに再び目をつむり、寝息を立てて眠り始めた。
大丈夫かな? とは思ったが、なのはちゃんと話している間に近づいてきたクロノさんの先導によって案内されたジュエルシード事件以来のアースラに案内されて、検査したところ、どうやら単純に魔力の使い過ぎだということがわかった。使いすぎとはいっても、身体に害があるほどではなく、疲れて寝ている程度のことだそうだ。
その報告を聞いてほっ、と安堵の息を吐く。これが原因でなのはちゃんに後遺症でも残ろうものなら後味が悪すぎるというものだ。
また、検査に入ったのはなのはちゃんだけではない。はやてちゃん、アリシアちゃん、僕も検査を行った。とはいっても、僕とアリシアちゃんは簡易的なものでだったが。一応、闇の書に飲み込まれた際に異常がないか調べただけらしい。もっとも、闇の書―――元夜天の書ことリィーンフォースさんによれば、一種の位相空間に呼び出しただけで害はないらしいが。
害はないとはいっても、変化があるとすれば、アリシアちゃんの態度だけだろうか。いや、もしかしたらこれが本来のアリシアちゃんなのかもしれないが。彼女特有の活発な態度は鳴りを潜め、大人しい………ともすれば引っ込み思案な性格になっているようだ。それでも、僕のそばから離れようとしないあたり、嫌われてはないようだが。
だが、僕から離れなかったのは少しの間だけだ。検査が終わって、控室みたいなところに案内されて、飲み物を適当に渡された後、お互いに何を話していいのか分からず無言の時間があったあと、アリシアちゃんが僕の肩を枕にして、く〜、と可愛い寝息を立てて眠ってしまったのだから。そのままにしているのもどうかと思って、アースラの職員さんに事情を話して寝室を用意してもらった。部屋の数はいくつもあり、問題ないようだ。僕がおんぶで運んで、部屋に備え付けられていたベッドに寝かしつけた後は、目にかかかっている前髪を払い、おやすみ、と言葉を残して僕はアリシアちゃんが眠っている部屋を後にした。
再び控室のような部屋に戻った僕は無料のコーヒーを飲みながらクロノさんからの報告を待っていた。しかし、そうそうと連絡が入る様子はない。そもそもアースラ全体が騒がしい様子を見せている。簡単に事情を説明されただけだが、どうやら今回の作戦責任者がいろいろと時空管理局の規約に触れていたらしい。その後始末でいろいろとアースラ全体が騒がしいらしい。
終わりよければすべてよし、というわけにはいかないようだ。
宮仕えも大変だな、と思いながら、僕は暇つぶしのために携帯電話をポケットから取り出した。
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