暁 〜小説投稿サイト〜
SAO−銀ノ月−
第八十二話
[2/9]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


 その謎もこの予選で終わりだ。予選が始まるより早く、リーベは俺にそう語っていた。――BoBでウチを楽しませてくれた人には、もしかして何でも喋っちゃったり……して? ――彼女が約束を守るとも思えないが、今はそれしかない。

「それじゃ、楽しもうね!」

 BoB予選決勝戦、対戦相手。表示される名前を見るまでもなく……目の前にいる銃の世界の踊り子、リーベだ。

 そして決勝戦は始まり。俺は転移した時の感覚から目を覚ます。対戦ステージは湖畔のコテージ――中央に大きい湖があり、それを囲むように宿泊施設や娯楽施設だったものがある。湖に架かる橋や古びたホテルなど、どうやらいつかは観光名所であったらしいが、例によって例のごとく壊滅状態ではある。……湖畔だけが美しいままというのは、デザイナーの皮肉か何かだろうが。

 アインクラッドでのキリトとアスナの家があった、第二十二層に雰囲気が似ている――デスゲームの話をしている時に、タイミングが良いのか悪いのか――と思いつつ、出現地点である廃墟から外に出る。木々から虫と鳥の音が鳴っており、湖畔から気持ちのいい風が吹いている。

 ――その風や音に混じって……歌声が聞こえてくる。町中を歩いていた時に歌っていた、彼女の踊りを伴った歌声だ。自分はここにいるよ、と誘っている。

「…………」

 罠だ。考えるまでもなく――普通ならば。あの踊り子に見せかけた愉快犯に限っては、何を考えているかは分からないが……唯一分かることは、その歌声の向こうには、彼女がいるということだ。

「ナイスな展開……じゃないが。誘われたからにはな……!」

 踊らされているようでいい気はしないが、その歌声に従って歩いていく。罠なら正面から打ち破るのみ……という心持ちのまま、木々の間を通り抜けていく。そしていつしか開けた場所に到着し、歌声もそこから聞こえてきて、リーベもそこに――

 ――いなかった。

「なっ……?」

 歌声は聞こえ辛いものの、確かにこの開けた場所から聞こえる。されどリーベの姿は見えない……どこかに隠れているのか、とも思ったその時、足に何かが引っかかる。

 ……ラジカセ。

『歌声で誘い込んでるでも思った? 残念でした!』

「あの踊り子……っ!」

 今まで歌声が聞こえていたであろうラジカセが、その音声を最後に足下で爆発する。とっさに飛び退いたものの靴に焦げ跡がつき、次はどこから来るか警戒する。今の状況は、いいようにおびき寄せられたのと同義だ、必ず何か手を取ってくる筈――と、近くの木々から大量に、歌声が響いているラジカセが落ちてくる。

 ……近くまで来ていたにもかかわらず、歌声がどこから響いているか分からなかったのは、これが原因か。そのラジカセから煽るように歌声が響
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ