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藤崎京之介怪異譚
case.4 「静謐の檻」
U 同日 PM.7:56
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も相模探偵で、演奏もこの手の事件も一流だと太鼓判を押されまして…。」
 相模の奴…自分の手に終えないと見て、全部俺に投げてきたな…。俺はそう考えつつ溜め息を吐いた。
 しかし…ここで断るにはもう遅いと判断し、仕方無く話を進めることにしたのだった。
「そうでしたか…。まぁ、それは由として、この掛け軸には何か特別な由来でもあるんですか?」
「はい。この掛け軸は、元来義父の持ち物なのです。その義父なのですが、今から三十三年前に行方が分からなくなり、以後それきりで…。」
「失踪…ですか。何か心当たりは?」
「いえ…当時は私も未だ嫁いでおりませんでしたので、あまり詳しいことは…。」
 これは何か根深いものを感じてしまうな…。俺がそんなことを考えいると、山之内氏は話を進めるために再び話始めた。
「それでこの掛け軸なんですが、私が嫁いできた時には、既にこの状態だったのです。昨年亡くなった夫が申しておりましたが、いつか義父が帰った時のために、一番気に入っていたこの掛け軸を掛けておきたいのだと。私も夫の遺志を継いで、ずっとこのままにしておいたのです。ですが…今年に入りまして、この掛け軸に異変が起こり、先程話しました通りの事が度々ありまして…。」
 山之内氏は掛け軸を見ながら、不安げな表情を浮かべてそう言ったのだった。
「分かりました。この仕事もお引き受けしましょう。先ずは、前任の相模探偵にどうなっていたのかを聞いた上、仕事に取り掛かることにします。」
「有り難う御座います。これで一安心と言うものです。それで…おいくらなのでしょうか?私、こういった類いの職業の相場は知りませんもので…。」
 俺は戸惑った。こっちの仕事で報酬をあまり受け取らないのは、相模だって知っている筈だ。何も説明してないのか?
「いや…この宿を提供して頂いてるんですから、それだけでも充分です。」
「いえ、これは私個人の依頼です。失礼とは存じますが、これだけご用意させて頂きましたので、どうかお受け取り下さいませ。」
 困っている俺に、山之内氏は分厚い封筒を差し出した。
「二百万程ですが…。」
 俺は驚きのあまり飛び上がりそうになった…。いくらなんでも…出しすぎだ。だが、山之内氏は真剣な顔付きでこちらを伺っている。受け取るべきか受け取らざるべきか…。
 その時…あの掛け軸が風も無くひとりでに揺れ始め、俺も山之内氏も目を見張った。
「先生…ご覧の通りで…。」
 山之内氏は真っ青になりつつ言った。
 掛け軸は暫くユラユラと揺れて…そのままサラリと床に落ち、その後は何事も起きることはなかった。
「分かりました。これはお受け取り致しますが、これでは頂き過ぎです。演奏会終了後、宜しければこちらで単独演奏させて頂きますが…いかがですか?」
 俺がそう提案すると、多少血色を取り戻し
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