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ロザリオとバンパイア〜Another story〜
第36話 決着 引力と斥力
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無木だったのだが、直ぐに一変する事になった。なぜなら、それは突然起こったからだ。


「な なに… 地面に…吸い込まれる!」

 神無木は、大気に存在する水分でさえ、力に変えて利用し 空を飛ぶように浮かんでいたのだ。
 自身が海の攻撃に当たらぬようにする為に。……空中に飛んでいた筈なのに、突然何かに引っ張られてるかのように大地へ引きずり込まれていた。


――……己が繰り出した技と共に。



“ドッシャアッ!!!”

 そして、地面にたたきつけられるように落下した。

「がッ!! はぁっ! キ……キサマ…な…何をしたァッ!!」

 叩きつけられた後、身動きが取れない。まるで、地面に縫い付けられたかの様な、いや、それ以上だった。

(か……からだ…が………)

 どんどん押しつぶされてゆくのだ。単純に押さえつけられている、そんな生易しいものじゃない。何千t、何万t、比喩じゃなく、そんな重りをつけられた気分だった。


『………知ってるか? 海ってな、結構重力に影響されやすいんだ。……干潮満潮だって月の引力の影響で水位が変わったりしているだろう? ……ならば、防ぐ…いや、縛るのは簡単だってな』


 ジャックは大地へ引き摺り下ろされ、身動きが取れなくなっていた男を見下ろしながら、そう言っていた。

「………重……力?? ッ…!!ま…さか! 今の……は!」

 神無木は理解した。ジャックが、無造作に放り投げる様に放ったあの黒い玉の正体を。

『……御明察。何を使えるのか、そして どんな種族なのか、くらいは探っておいた方が良かったんじゃないか? ……オレが今放り投げたのは重力の塊だ。それも特大の、な。……お前の技は付近の住民の皆さんに迷惑が掛かるからな、少々疲れるが荒っぽい手段を使わせてもらった。これならば、海が広がる心配もあるまい』

 呼び寄せた津波と男は大地にへばり付き、津波は広がらなくなった。巧みに重力場をも操り、完全に海へと押し返しているのだ。
 これでは、何年かかっても、何十年かかっても、押し寄せてくる事はない。

“ボキボキボキッ……”

「がああ!」

 そうこうしている間。ついに重力に耐え切れなくなったか、体の骨が折れて……いや、砕け始めた……。確かに大妖だろうと、己の身体を鍛えなければ 落ちぶれる。あの物量の差である程度の事は出来そうだが、己の肉体が弱すぎると言っていい。音を上げるのが、骨が折れるのがあまりにも速いから。

 そして、そんな時だ。

「お…おのれ!! …こうなったら、全員、全員! 道連れだァ!!!」

 神無木は……最後の力で、懐のスイッチのようなものを取り出す!

“カチッ…”

 そして、スイッチをいれていた。止める
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