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何かわからないうちに
第六章

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「何時でも待ってるからね」
「ああ、しかしな」
「何か御前ってな」
「もっと言えば沙織ちゃんもか?」
「あの娘もか?」
 その相手である彼女もというのだ。
「あの娘もこんな感じか?」
「気付いたら許嫁になっていてな」
「それで神社を継ぐことになっていて」
「その勉強をしている」
「そんな感じか?」
「そうなのか?」
「そうだと思うよ、沙織ちゃんもね」
 その彼女もとだ、大輝も答えた。
「よく一緒にいるけれど」
「そうか、やっぱりな」
「沙織ちゃんもそうか」
「婚約を意識するよりもか」
「一緒に神社の神主になってやっていく」
「そんな感じなんだな」
「あの娘にしても」
 クラスメイト達も話を聞いて言うのだった、納得した口調で。
「何か思ってたのと違うな」
「ああ、もっとな」
「結構今から夫婦だって思ってたら」
「また違うんだな」
「そうなんだな」
「まあね、お家のことはいつも頭の中にあるから」
 大社を継ぐ、このことがだ。
「僕も沙織ちゃんもね」
「だからか」
「それでなんだな」
「恋愛とかよりもか」
「そっちか」
「うん、好きとか嫌いとか」
 そうなるとだ、大輝が言う答えは。
「嫌いでないことは確かよ」
「だよな、沙織ちゃんも」
「お互い嫌いじゃないよな」
「そのことは間違いないな」
「そうだよな」
「うん、ずっと一緒にいて喧嘩をしたこともあったけれど」
 それでもだというのだ。
「仲はいいつもりだよ、お互いのことをよく知ってるつもりだし」
「そういえば従兄妹同士だしな」
「家も近くて同じ学校でな」
「それじゃあな」
「よく知ってるよな」
「お互いの家に泊まることも多いし」
 そうしたこともあるというのだ。
「だからね」
「何か兄妹みたいだな」
「いや、姉弟か?」
「まあどっちにしてもな」
「ずっと一緒にいてこれからもか」
「一緒にいるんだな」
「そうだよ、お互い最初はそんな風に意識してなかったけれど」
 幼い頃はだ、まだ何も知らなかったその頃はだ。許嫁と言われてもそれが何なのか実感も何も出来なかった頃だ。
「それでもね」
「今はか」
「そういうことも意識してか」
「神社に入る」
「それがいつも頭の中にある」
「お互い一緒にいて」
「これからもなんだな」
 皆次第に二人の関係がわかった、許嫁という関係が。
 大輝は高校、そして大学に入ってからも同じだった。やはり沙織と共に大社を継ぐべく勉強をして共にいた。
 弓もして様々な神事を勉強した、そして。
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