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黒魔術師松本沙耶香  紅雪篇
23部分:第二十三章
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ことを知らないのよ」
「さっきから何を」
「さあ、何かしらね」
 今度は前にいる沙耶香が言ってきた。彼女のすぐ前まで来てその美しい形の顎を手に取ってきた。この時に彼女は二人の沙耶香が放つ妖しい香水の香りに気付いた。紅い薔薇の香りであった。
「ただ私はこの雪を消すだけよ」
「けれどそれは」
「わかったのよ」
 沙耶香の声に艶が入ってきた。
「わかる!?」
「そうよ。貴女は男も女も知らないわね。身体を知らないというのはそういうことなのよ」
「まさか貴女それで」
「そう。今から貴女を女にしてあげる」
 沙耶香は何時の間にか一人になっていた。後ろから囁き続ける。そのまま雪女を後ろから抱いてきた。
「冷たいわね。けれどそれはわかっていること」
 それに構うことなく。漆黒のコートを闇に変えていく。
「赤い血を流せば。それで少女は女になり」
 闇の中で彼女は言った。
「紅い雪は白くなるわ。そして消えるもの」
「どうしてそれがわかったの?」
「ふふふ、女の子に気付いたから」
 佳澄との交わりが全てであった。あの交わりで沙耶香はわかったのである。雪女のことが。紅の雪が降るのは彼女が処女であるからだ。そうでなければどうなるか。そういうことであった。


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