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黒魔術師松本沙耶香  紅雪篇
21部分:第二十一章
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「雪女に会ったわ」
 沙耶香はまずはこう述べた。
「この雪を降らせている張本人にね」
「左様か」
「綺麗だったわ」
 まずは容姿について述べた。そこが沙耶香らしい。
「食べたい位にね」
「じゃがそうはしなかったな」
「ええ」
 その問いにこくりと頷く。顔だけが動いていた。
「闘ったわ」
「そうか。やはりな」
「けれど。闘っても何も得られないみたいね」
「刃を交えてもこの雪は消えぬか」
「消えはするでしょうけれど。すぐに彼女がまた蘇るかも」
 沙耶香は言う。
「冬である限り。雪女は雪の化身だから」
「おそらくはそうなるじゃろうな。倒しても」
「ええ。それで困っているのよ」
 表情を変えずに述べる。仮面に似た顔になっていた。
「どうするべきかね」
「しかしじゃ」
 老婆はここでその細い目で沙耶香を見てきた。異様なまでに長く黄色い鼻がそれで上に動く。
「実はもうおおよその手懸かりを掴んでおるのではないかな」
「ふふふ、それはどうかしら」
 その言葉には楽しむような笑みを返してきた。
「そうであったらいいけれどね」
「娘の匂いがするぞ」
 老婆はこうも言った。
「それも幼い娘じゃな」
「それでも中学生よ」
 沙耶香は笑って返した。それと同時に認める。


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