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ウィピル=グランデ
第六章
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「じゃあそれでいけばいいさ」
「それでは」
「そういうことでな」
 こう楽しく話したのだった、すると。
 店に一台の車が来てだ、店長達の傍に停めてだった。口髭を生やした男が運転席から顔を出して店長に問うた。
「そこの姉ちゃんの服何だい?」
「何でもウィピル=グランデというらしいです」
「その顔だけ出してる服はか」
「そういうみたいですよ」
「ウィピル=グランデ?はじめて聞いた名前だな」
「私もそうです」
「そうか、また凄い服だな」 
 男はまたこう言った。
「肩がないんじゃないかって思ったよ」
「そうした服らしいです」
「成程な、しかし店に来たしな」 
 実は服の名前を聞いただけだった、だが。
 店に来たついでにとだ、男は店長に言った。
「ちょっとガソリン入れてくれるか」
「それじゃあ」
 早速だった、客が一人来た。イザベラがウィピル=グランデを着ていると客がいつもよりも多く来た。早朝であまり車が通っていないがだ。
 それでだ、店長は笑ってイザベラに言った。
「いいんじゃないか?看板に描いたりしても」
「お店の」
「実際にお客さんいつもより多く来てるしな」
「では自分でお店をやる時にそうさせてもらいます」
「それでな」
「じゃあ今から制服に着替えます」
 つなぎの作業服のそれにというのだ。
「それで働きますので」
「そうしてくれよ、やっぱりガソリンスタンドだからな」
「服は作業服ですね」
「それでいこうな」
「はい、それじゃあ」
 イザベラは更衣室に戻って制服に着替えて仕事に入った、その作業服は普通だった。しかしウィピル=グランデが目立つことははっきりわかってだった。
 それでだ、店長に昼にあらためて言った。
「では自分のお店を持った時には」
「あの服で注目されればいいさ」
「わかりました、そうさせてもらいます」
 イザベラは店長の言葉ににこりと笑って応えた、そしてだった。
 独立して自分の店を持った時に看板にウィピル=グランデを描いた。開店の際その看板を見た周りの面々が言った。
「これはまた目立つな」
「随分変わった服だな」
「店長さんの部族の服らしいけれど」
「一回見たら忘れられないな」
「それこそ」
「だから看板にしたのよ」
 すっかり大人の女になったイザベラはその彼等ににこりと笑って言った、作業服姿で。
「目立つ格好だからね」
「ガソリンスタンドの服にはなれなくても」
「それでもですか」
「目立つから看板に描いた」
「そうなんですね」
「描いたのは私じゃないけれどね」
 そこはしっかりと業者の人に頼んだのだ。
「私絵は下手だし」
「あっ、だからですか」
「そこはですか」
「描いてもらって」
「それでなんですか」
「飾ってるの。じゃあ
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