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英雄は誰がために立つ
Life11 本命
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術者がかなり遠くに居るからだ。
 これもひとえに、ゼノヴィアが今回の敵の本命であるからだ。
 勿論、それに気づける筈も無く、ゼノヴィアは修行を続ける。
 だがゼノヴィアは、ふと背後が気になり後ろを振り向くと、目元だけの骸骨の仮面に黒子の様な恰好をした怪人が自分に迫っていた事に気付いた。

 「なっ!?」

 驚くと同時に咄嗟にそれを躱す。

 「チッ」

 骸骨の仮面をした黒子――――アサシンは、クラス別能力スキルである『気配遮断』を使っても後ろからゼノヴィアの身柄を確保できなかった事に、不満を露わにする。
 しかし、ゼノヴィアがタイミングよく後ろを向いたのは偶然でもなんでもない。
 彼女は一誠とは違い、元々戦士だったので、気配を捉える手段はある程度身に着けていた上、士郎の下での日々の修業の賜物のおかげで気配察知は戦士だった時以上に冴える様になっていた。
 そんなゼノヴィアの気配察知と、攻撃に転じる事で『気配遮断』のランクが落ちてしまったアサシンの行動が組み合わさり、身柄の拘束を失敗してしまったのだ。

 「お前は一体、何だ!」
 「・・・・・・シッ!」
 「聞く耳なしか!」

 ゼノヴィアが徐々に状況を把握しながらも、糾弾に近い疑問をアサシンに投げかけるが、問答無用で短剣(ダーク)を投擲してくる。
 それに対して聖剣で対応するが、それを何度も繰り返していく内に修行の披露が祟り、ゼノヴィアは徐々にふらついて来た。
 そして、それを見過ごす程アサシンは甘くない。

 「今だ、やれ!」

 目の前で対峙していたアサシンの言葉が合図になり、ゼノヴィアの背後から背格好や筋肉の付き方などが僅かに違っているが非常に似ているアサシン4人が襲い掛かる。
 それを気配だけは察知出来ていたので、後ろを振り向かずともマズイと理解出来てしまった。

 (やられるっ!?)

 前に居るアサシンに背も向けられずにこのまま終わるかと思いきや、後ろから感じたのは死の感触では無く、自分以外の何かが切られる音と呻き声、そしてけたたましい位の轟音だった。

 『ぐっぎゃぁあああ!!?』

 ズッシャッァァアアアン!!!

 「なっ!?」
 「え?」

 予想外の展開に驚くアサシンと、何が起きたのかとそして今がチャンスと振り向いたゼノヴィア。
 そのゼノヴィアが振り向いた先に立っていた人物を見た時、我儘な話だが落胆した。
 以前に、桐生に教わった知識にヒロインが危ない時にヒーローは颯爽と現れてヒロインを助けてくれると教わっていたにも拘らず、想像していた人物が士郎では無いと確信できてしまったためである。
 そこに居たのは白銀の魔剣士だった。
 何故彼女が、この魔剣士を士郎では無いと瞬時に確信できたかは、ズバリ身
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