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歌集「春雪花」
84

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 恋し君の

  心無きにし

    露の夜に

 われ想いては

     袖ぞ濡らしつ



 梅雨の淋しい夜…どれだけ彼を恋しく想っても、彼の心はどこにもない…。

 彼に想われることのない世界…私はただ彼を想って袖を涙で濡らすしか出来ない…。

 梅雨の空が雨模様で当たり前だと言わんばかりに…。



 日々辛し

  叶わぬ夢と

   知りつつも

 君想いてや

    雨ぞ降るなり



 彼を想う日々は辛く…ゆえに、叶わないと知りつつ夢を見てしまう…いつかはと…。

 現実にありえない夢は、ただ…そっと胸の奥に仕舞うしかないのだ…。

 彼を想い目を閉じれば、外からは雨音が聞こえてきた…。

 雲は雨を降らせているのか…それとも泣いているのか…私には分からない…。




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