暁 〜小説投稿サイト〜
地球の断章〜深き海より暁を喰らうモノ〜
プロローグ
[1/4]

前書き [1] 最後
古代より、人は自身の理解が及ばぬモノを様々な形に当て嵌めてきた。
マグマを吹き出し噴火する火山を「火の神」と。天空の黒雲に走る稲妻を「雷神」と。
豊かな恵みを与える大河を「水の女神」と。理不尽な死を齎す疫病を「馬に跨り、大地を駆ける死神」と。

 自然という未知に対して、人はそれを「神」と定義しそれを崇めることで怒りを鎮めようとした。
人にとって「神」は畏れるモノだった。

―――――――――――――――――――――


 西暦1939年から1945年までの6年間、世界は「第二次世界大戦」という名の戦禍に包まれた。
数多くの武器と炎が大地を、海を、空を焼き無数の命が散っていった。世界には戦火の爪痕が残り至るところに兵器の残骸が残った。
戦争の終盤、アメリカは究極の兵器を作り出した。『核兵器』である。
敵対国・日本で、二度爆発したそれは地上に太陽を出現させ、熱と爆風を以て多くの命を吹き飛ばし、毒の雨を降らせた。

やがて、戦争は終わった。
しかし、失われた命は帰ってこなかった。空に散った命も、陸で絶えた命も、戻らなかった。


1946年、夏。未だ世界の傷が癒えない中ビキニ環礁で新たな核兵器『水爆』が炸裂した。

それは、深い海の底にまで響く衝撃だった。
失われた命が、兵器の残骸と共に眠る海の底。空に散った命、陸で絶えた命も、受け入れ、せめて静かに眠る場所とした海にも太陽が現れた。

深い、深い、海の底。
積もり積もった残骸と、無念を抱いて共に沈んだ命。

『眠ることさえ、許されないのか』

沈んだ命は、暗い海の底で嘆き、悲しみ、そして、怒りと憎しみを募らせていった。


――――――――――――――――――――――――


 1954年。日本の大戸島において、人類史上かつてない出来事が起こる。
未知の巨大生物が大戸島近海に出現、多くの船を沈め、大戸島に上陸し、人類にその巨躯を見せつけたのだ。
その巨大生物は、大戸島の故事に倣い、「呉爾羅(ごじら)」と呼ばれた。

謎の生物、ゴジラに関してそれを最初に発見したと日本人の古生物学者・山根恭平は一つの仮説を立てた。
「ゴジラは、度重なる核実験によって姿を変えられ、さらに安住の地を追い出された古代の生物ではないか?」と。

この説は、非常にセンセーショナルではあったが世間の関心を惹くものではなかった。
それは精々、「核」を戦後ビジネスの目玉にしようとした為政者たちにとって少々都合が悪い程度のものだった。

しかし大戸島での邂逅から数か月後、ゴジラが日本の首都・東京を襲ったことで、事態は急変する。
機関銃は勿論、高圧電流も戦車砲も、爆撃機の攻撃も物ともせず、都市を蹂躙し人を焼き殺し、我が物顔で去り後に大量の放射能を残したゴジラに
前書き [1] 最後


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ