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オズのカエルマン
第四幕その三
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「そう思う気持ちが強いから」
「その気持ちもクッキーにあって」
「美味しいんだよ」
「気持ちがあるから」
「それが一番強いかな」
「ケーキさんのクッキーが美味しい理由は、ですね」
「うん、幾ら作り方がしっかりしていてもね」
 食べてくれる人に美味しく食べてもらいたいという気持ちがなければ、というのです。
「どんなものも美味しくならないよ」
「味気ないものになるんですね」
「その通りだよ」
「いや、全くその通り」
 カエルマンは魔法使いのその言葉にぽんと手を叩いて答えました。
「美味しく食べて欲しいという気持ちがあればこそ」
「ケーキのクッキーは美味しいね」
「そうだよ、僕も知ろうとしないと。皆の役に立ちたいと思わないと」
「そうはなれないね」
「知識も備わらないし役立たずになってしまうよ」
「カエルマンさんもですか」 
 神宝はカエルマンのその言葉に少し驚いて言いました。
「役立たずに」
「なるよ、誰でもね」
「誰でもですか」
「そう、誰かの役に立とうと思わず何の努力もしないなら」
 そうなってしまえばというのです。
「誰でもね」
「そうなるんですか」
「僕は最初は自惚れてばかりで」
 かつての自分自身も反省するのでした。
「まさに井の中の蛙だったよ」
「村から出るまではですね」
「全く以てそうだったよ、けれど何も知らない何も役に立たない自分を知って」
「知ろう、役に立とうと思って」
「僕も変わったんだと思うよ」
 こう神宝に答えるのでした。
「そうなったんだよ」
「カエルマンさんもですね」
「今は少しは皆の役に立てる様になったかな」
 カエルマンは腕を組み考えるお顔で言いました。
「そうだといいけれど」
「皆カエルマンさんを頼りにしていますよ」
 ケーキがそのカエルマンににこりと笑って答えます。
「心から」
「だといいけれどね」
「それこそ散髪屋さんの様に」
「そうそう、散髪屋さんは昔はあれでしたよね」
 ケーキの散髪屋さんの様にという例えにです、神宝はそのお顔をぱっと明るくさせて答えました。
「何でも屋さんでしたね」
「ええ、オズの国でもね」
「散髪でも代筆でもお医者さんでも」
「何でもしていたのよ」
「まさに何でも屋さんでしたね」
「カエルマンさんはその散髪屋さんみたいにね」
 それこそと答えるケーキでした。
「村の、そしてオズの国の皆から頼りにされているのよ」
「そうなんですね」
「そう、本当に頼りになる人よ」
「だといいけれどね、少なくともね」
 そのカエルマンの言葉です。
「そういう風になりたいよ」
「散髪屋さんみたいにですか」
「それも腕の立つね」
 神宝ににこりと笑って答えました。
「そうなる様に努力するよ」
「そう
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