暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン ≪黒死病の叙事詩≫
≪アインクラッド篇≫
第三十三層 ゼンマイを孕んだ魔女
片手斧の少女 その壱
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はそれを成功させるほどの天性の何かがあるんだろうなと思った。
 きっとそれは俺にはない、そして俺の信ずるものでもない、俗に言われるほうの『運命』のようなものなんだろうなと思った。
 ないものねだりはしない。勝利の女神様に嫌われているのは自覚済みだ。そう、だからこそ超え甲斐があるってものなのさ。勝負運を実力で打ち負かすなんて、なんとも(アンチ)英雄的(ヒロイック)で面白いじゃないか。

 闘いを終えた二人がこちらに帰ってきたので、俺は零れそうな笑いを呑み込みつつ彼女達を迎えた。

「お疲れ様。二人とも。中々面白かったよ。ヒースクリフも今の剣技を褒めていたぜ」
「素晴らしい駆け引きだった。これほどの腕前なら今回のクエストも突破することができるだろう」

 お世辞ではないのだが、やや褒めすぎな気もする。ヒースクリフはここまで他人を褒めるような人物だとは思わなかった。しかしそれに喜ぶような素直な二人ではなく、ああそうですかみたいな態度を崩そうとしなかった。しかしアスナはどうにも我慢できなかったようで、やや嬉しそうだ。

 アイが俺に寄ってきて、「ごめんね」と謝ってくる。メントレが「ドンマイですよ!」、俺が「最後のミス、惜しかったな」と返すと驚いたようで、「間に合わなかったけどね」と苦笑いを浮かべながら俺とメントレの間に座った。

 二人が席に着くと俺とアイとメントレ、ヒースクリフとアスナがそれぞれ隣り合って座るようになった。全員が着席し、何を話すのかは明確だ。経過に関わらずデュエルの結果は結果。しからば、その報酬(リワード)を設けるのも当然の結実(けつじつ)だろう。

 切り出したのは、やはりアスナだった。

「では、デュエルで勝ったので最後のメンバーを決めさせて貰います」
「それは決定事項でいいけど、純粋なダメージディーラーで頼むよ。ワンパーティー限定クエストだからバランスには気を遣うべきだからね」
「ええ、大丈夫です。そうですね、じゃあ――≪片手斧≫のイルさんなんてどうでしょうか?」

 片手斧のイル、彼女のことは知っている。元々はソロプレイヤーで最近ギルドに加入したと聞いていた。ソロの時にレイド戦にて一度組ませてもらったことはあるがダメージディーラーとしては確かに申し分ない。しかし俺が、名簿で確認しておきながら彼女を今回のクエストに不適としたのには、個人的な理由以外にも超絶納得できる最強の理屈がある。

 まず彼女は集団行動に適さない。いいや、あれは適さないなんてもんじゃない。集団行動に害をもたらすレベルだ。

 言ってしまえば集団戦闘のセンスがない。そのくせ自分のセンスを信じているというか妄信しているというか、本当にレイド戦では害悪だった。そのセンスが先のアスナの判断のように直結で勝利に繋がったり、起死
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