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K's−戦姫に添う3人の戦士−
2期/ヨハン編
K18 わからず屋にはいいオクスリを
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ハッチに足をかけた。

 眼下には大空と大洋。
 生身の人間が落ちれば一溜りもないだろう。無事の保証があっても多少は躊躇うだろう。
 だがヨハンは躊躇なくそこから空へ海へ、我が身を投げた。


         「 ――Cerena tear Claiomh-Solais tron―― 」


 聖詠。一瞬の間を置いて、ヨハンの四肢と頭部にシンフォギアが装着された。

 空中に発生した新しい外敵に、ノイズの注意がいくらかヨハンに向いた。
 ノイズは跳んでヨハンに殺到する。ヨハンは慌てず、バスタードソードを構え揮った。

「 『フェアリーテイルも 仄かな恋も やっぱり蛇の食い物(エサ)で終わった』! 『小さな君はケージの中 可愛い顔をゆがめた』――っはあ!」

 群がってきた球形ノイズを、バスタードソードから放った炎の斬撃で炭化させる。

「 『ねえ、知ってるよ? 不幸(あじ)なら君が格別だ』 …」

 ダン!

 哨戒艦の外装を凹ませながらもヨハンは着地し、足場を確保した。足裏への衝撃で2フレーズ飛んだ。

「〜〜っ、『蛇の大・大・大好きな味』…ッ」

 空を見上げる。切歌が来る様子はない。何をしているかは、この甲板からではもう見えない。
 しかし切歌に専心する暇はヨハンには与えられない。すぐさま、小さな体でノイズを殲滅している調に向かって走り出した。

「 『恐慌、絶叫、噛み砕こう こいつはちょっと辛くてヤバイが』ぁ! はぁッ…『これでも舌は鍛えてるほうでね』――」

 ヨハンは最後のノイズをバスタードソードで斬り捨てた。

「 『見かねた小さな君の頬の涙を 荊が舐めた』 !」

 ようやく調の前に辿り着いた。


「ヨハン」
「調。ケガはない?」

 調は無言で首肯し、ヨハンに向けて淡く笑んでくれた。
 これだけでヨハンには組織の方針に逆らって飛び出した価値がある。ヨハンにとって月読調は、それほどに重い存在だ。

 笑み合っていた所で、ヨハンの背後からバーニアを噴かす音と着地音がした。調と共にふり返る。
 そこにいたのは、イガリマのギアを纏った切歌だった。

「きりちゃんっ」
「遅いよ、切歌ってば」

 冗談めかしてみれば、切歌も苦笑した。

 違和感がちらつく。――切歌はこれほど物静かな子だっただろうか。

 ヨハンは訝しむまま切歌に歩み寄った。切歌は動かない。
 切歌の細い両肩に手を置き、目線を合わせるために屈んだ。ここまではいつも通り。

「具合が悪いのかい。もしかして、まだオーバードーズの影響が残っ」


 ぷち


「え――?」

 鋭く小さなものが首の皮膚を貫通した。
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