暁 〜小説投稿サイト〜
K's−戦姫に添う3人の戦士−
1期/ケイ編
K10 ごまかせない“キミガスキ”
[2/3]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
。ノイズの破壊の痕跡が残る建物もいくらかあった。だがケイは無視した。


『 沈めてた慕う心 浮かび上がる 戦うほど―― 』


 ヘッドホンから流れ出すのはいつものBGMではなかった。だがケイには、初めて聴くはずの曲をどう歌えばいいかが分かっていた。

(今まで分かっててごまかし続けた気持ち。とっくに気づいてたんだ。俺が未来をどう想ってるか。ただ遠慮してただけだ。俺が小日向の家の貰われっ子だから。育てられた俺が育ててくれた家の一人娘を攫うなんて許されないって)

 はっとする。今、ケイの声に交じって女の子の声がした。
 ヘッドホンの集音を最大にする。この特徴的な声を間違えるわけがない。
 響がどこかで戦っている。


『 君と僕が奏でる歌が違うように 明日も今日の Not! キャッチ&リリース 』


 見つけた! 路上のタコ足ノイズにメガトンパンチを食らわせる響だ。
 響はガードレールを超えて跳び、落ちていく未来を両手で抱いた。

(飛べよ相棒! 俺の大事な女の子のとこまで!)

 ケイもまた、壊れたガードレールに最速でバイクを突っ込ませた。一瞬の浮遊感。すぐにハンドル操作を立て直す。
 アームドギアであるレーザー砲をバイクの後部左右に装着し、ブースター代わりにすることで車体を高く跳ばせ、宙を翔けるバイクとしたのだ。

「響ちゃん!」
「ケイ、さん…!」

 響は未来を抱く腕の片方をケイへと伸ばす。ケイも届けと腕を伸ばし、ついに響の手を掴めた。


『 俯か、ない 諦め、ない! pray――Your Destiny! 』


 壁にタイヤを接地する。そしてレーザーブースターを全開に、壁を下に向かって斜めに走ることで少しずつショックを和らげる軌道に持って行く。


『 突破するんだ 心のmaze そして! Your Futureッッ!! 』


 ギュギギギギギギギギギーーッ!

 地面に到着した瞬間、ケイはドリフトを利かせて一気にバイクを停めた。

「ハア…ハッ…はあぁぁ…」

 成功、した。やっている最中は夢中で気づかなかったが、今考えると相当危険なドラテクに出てしまった。それだけケイは小日向未来のことで激していたらしい。

 怪我がないかを尋ねようとしたケイの傍らで、抱き合っていた未来と響が急に笑い出した。

「体中あちこち痛くて――でも、生きてるって感じがする」

 ケイはギアを解除し、こっそりとバイクを押してその場から少し離れた。

(この分だと勢いで仲直りまで持って行けそうだな。お邪魔虫は退散しとこう)

 笑い合い、泣き合い、抱き合い、本音を打ち明け合う少女たち。
 お誂え向きにここは夕陽の河原。仲直りには絶好のシチュエーション
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ