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オズのカエルマン
第二幕その三

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「欠片が全部集まって」
「すぐにね」
「いや、お池の中の欠片が全部見付かってよかったです」
 神宝はカエルマンに言うのでした。
「本当に」
「いや、お水の中ならね」
「カエルマンさんならですか」
「僕は蛙だからね」 
 それ故にというのです。
「お水の中なら何でもわかるよ」
「何でもですか」
「そう、よく見えるしよく聞こえるし」
「匂いもですね」
「わかるよ」 
 それもというのです。
「だからね」
「それで、ですか」
「うん、全部わかるよ」 
「やっぱり蛙ですね、僕達はとても」
「お水の中ではだね」
「歪んで見えて殆ど聞こえなくて匂いなんて」
 それこそなのです、人間がお水の中にいると。
「わからないです」
「そうだね、けれど蛙はわかるんだ」
「お水の中で生きる生きものだから」
「それでだよ、ただお鼻はね」
 このことについてはです、カエルマンはトトを見つつ言うのでした。
「僕もお水の中でも」
「僕にはだね」
「犬の諸君には負けるよ」
 とても、というのです。
「君達にはね」
「僕ここにいてもお池の中の匂いが全部わかるよ」
「犬の鼻は特別だよ」
「カエルマンさんのそれと比べてもね」
「そうだよ、足元にも及ばないよ」
 カエルマンのお鼻もとてもなのです、犬のトトのお鼻には敵わないのです。それだけ犬のお鼻は凄いのです。
「全く、犬のお鼻は凄いよ」
「このことは僕の自慢だよ」
 トトも胸を張って言います。
「お鼻のことだけはね」
「いや、他にもじゃない」
「そうかな」
「君達は耳もいいし足も速いしね」
「だといいけれどね」
「君達は凄いよ。それじゃあ」
「ええ、馬車に戻りましょう」
 ドロシーは早速カエルマンに応えました。
「それで都に戻りましょう」
「それではね、ただ」
「ただ?」
「一つお願いがあるけれど」
 ここでカエルマンはドロシーに言うのでした。
「いいかな」
「何かしら」
「うん、僕も都に行かせてもらいけれど」
「それとなのね」
「うん、ケーキも一緒にね」
 こうお願いするのでした。
「そうして欲しいけれど」
「わかったわ、あの人もなのね」
「最近オズの国に行きたいって言ってたから」
「それでよね」
「うん、あの娘もね」
 一緒にというのです。
「それでいいかな」
「わかったわ」
 笑顔で頷いたドロシーでした、そしてです。
 ドロシーは皆にです、こう言いました。
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