暁 〜小説投稿サイト〜
K's−戦姫に添う3人の戦士−
2期/ヨハン編
K10 Dancing in the Midnight
[1/3]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
 ――6年前に一度、機械装置を介して起動したアルビノ・ネフィリム。その代償はヨハンたちにとってあまりに大きかった。

 マリアの妹、セレナ・カデンツァヴナ・イヴ。当時のF.I.S.でただ二人の適合者の内一人。

 セレナはアルビノ・ネフィリムの暴走に立ち会っても怖じず恐れず、それどころか、自ら絶唱を使うと宣言した。
 姉であるマリアは止めた。だがセレナは笑って、譲らなかった。


 “その時は、マリア姉さんとヨハンが何とかしてくれる”


 あの時、ヨハンはセレナから目を反らしてしまった。あの時の自分は本当に臆病者で、セレナに後を託されても受け止めきれなかった。

 争いがキライだと言うと、優しい子、とナスターシャは褒めてくれたが、幼いヨハンにとってそれらは「弱虫」の代替語でしかなかった。

 けれど、セレナはヨハンのそんな意気地なさまで受け容れた上で、ヨハンの手を取って言った。


 “ギアを纏う力は、あなたが望んだものじゃないかもしれない。けど、わたしはこの力でみんなを守りたいと望んだよ。あなたも同じ気持ちだって、わたしは信じてる”


 守りたいものならその時も確かにあった。月読調と暁切歌。レセプターチルドレンからの適合者輩出のため、別れ別れになった彼女たち。ずっと3人でいると約束したのに破ってしまった少女たち。

 セレナは大人びた笑みを浮かべてから、ネフィリムに挑みに行った。ヨハンの手を永遠にすり抜けて――逝った。

(絶唱。命を燃やす滅びの唄。それを奏でてなお、セレナは胸が痛むくらいに美しかった。美しかったんだ)

 ヨハンは安全な場所で、赤く落涙するセレナに怯え震えた。セレナはそうまでしてネフィリムを封じ、ヨハンたちを救ったのに。今もって情けない。コンプレックスの根とも言える。


 “マリア姉さんとマムをお願いね、ヨハン”


 それがヨハン・K・オスティナの覚えているセレナの最期の言葉。
 託されたものの重さも想いも今は理解しているし、受け止められると自負している。

(セレナはこんな僕を信じてくれた。だから僕は、調や切歌と一緒に、マリアを命懸けで守り通す。彼女の中の”フィーネ”こそが、世界の希望だから)

 誓いを新たに。
 ヨハンは武器を握るため、そのメロディを口にした。






 決闘にはお誂え向きのカ・ディンギル跡地に翼たちが着いた時、出迎えた人物はドクター・ウェルただ一人だった。

 ウェルはソロモンの杖を使ってノイズを呼び出し、月の落下という衝撃的な事実を告げた。

(対処法のない極大災厄。各国がひた隠しにするのは、まさか上流階級だけが助かろうという保身のため!?)

 第一陣のノイズを掃討し終えた。だが、ウェルは次のノイ
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ