暁 〜小説投稿サイト〜
K's−戦姫に添う3人の戦士−
1期/ケイ編
K prologueT 小日向未来の兄
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っている。
 未来は星空を見上げて手を伸ばす。こんなことをしても、流れ星の一つでも掴めるわけがないのに。

「へえ。すごいな」

 ケイが横に立った。
 こてん。未来はケイの肩に頭を預ける。ケイは察して凭れやすいよう位置をズラしてくれた。

(わたしが観たかったのは、響と一緒に観る流れ星だったのに……)

 大好きな兄と二人きりでいて、ロマンチックなシチュエーションだとは思う。だがそれでも未来の心は満たされない。

「――未来、ちょっとスマホ貸せよ」
「? いいけど、何するの?」

 ケイは未来が渡したスマートホンをいじると、天へとかざした。未来は画面を覗き込む。動画撮影モードで起動していた。

「1回ダメだったくらいで諦めるなよ。2回目、誘ってみなって。きっと立花ちゃん、二つ返事でOKくれるぞ?」
「2回目が今日みたいに急用でダメだったら?」
「俺なら3回目を誘うね。この辺から普通の女子はしつこく思ってくるだろうけど、立花ちゃんは未来大好きだから。何度誘っても断らないと思う」
「……都合いいことばっか」
「ポジティブシンキングと言え」

 ささくれていた心が柔らかく包み込まれていくようだ。このまま眠ればきっと素敵な夢が見られるに違いない。

「――ありがとう」
「ん?」
「何でもなぁい」

 動画撮影を続けるケイにもたれたまま、未来はただ微笑んで流れ星を見つめ続けた。
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