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タイヤル族の服
第三章
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「これからな」
「わかりました、じゃあ」
「そうした店に行こう」 
 こうしてだった、彼は学生達と共にだ。
 そうした食べものを出してくれる店のところに行った、飯店もあれば屋台もある。西瓜や地元の果物やあそうしたもので作った菓子にだ。 
 地酒もあり料理もあった、その中には。
「玉蜀黍もありますね」
「焼いたのが」
「そうだな、ここにも植えられているか」
 柳原は学生達が指し示した屋台の玉蜀黍を見て言った。
「そして食されているか」
「美味いですよ」
 学生の一人が早速買って食べてみて言った。
「この玉蜀黍」
「西瓜もです」
 それも美味いとだ、他の学生も言って来た。
「こちらも」
「そうか、そっちも美味いか」
「タピオカの菓子も美味いですし」
「どれも」
「そうか、ではこれから飯店に入るぞ」
 見れば柳原は屋台で立って食べてはいない、立ち食いになるので陸軍軍人として相応しいことではないと思ってだ。
 それでだ、学生達も連れてだ。
 その飯店で食った、中華の味の様でいてまた違う。そうした料理だった。その料理も楽しんでそれからであった。
 風呂にも入った、柳原は宿の温泉、露天風呂に入って。
 湯の中でだ、共に入っている学生達に言った。
「よいのう」
「はい、この風呂は格別ですね」
「身も心も洗われる気がします」
 生徒達も彼に笑顔で応える。
「この風呂に入ることも」
「これも学問ですね」
「その通り、学問とは世を知ること」
「だからですね」
「我々は今も学問をしているのですね」
「そういうことだ、学問は書を読むことだけではない」
 それだけが学問ではないというのだ。
「こうしたこともだ、それでだが」
「それで?」
「それでといいますと」
「うむ、ここはだ」
 この鳥来はというのだ。
「高砂族の場所だが」
「タイヤル族といいまして」
 その高砂族の学生が言って来た、右手をぴしっと挙げたうえで。
「この辺りに住んでいる人達です」
「君とはまた違う部族か」
「はい、私はパイワン族です」
「確か山の方に住んでいるな」
「それが台北まで降りたのがです」
「君の家族か」
「父の代になり」 
 そうだというのだ。
「それで台北に住んでいます」
「そうか、そして中学にもだな」
「家が商いで成功しまして」
「それは何よりだ」
「それでタイヤル族ですが」
「うむ、実は私もだ」
 ここでだ、柳原はそのパイワン族の学生だけでなく他の学生達にも話した。
「これまで高砂族といって一つに考えていた」
「この国の先住民達をですか」
「その様にですか」
「そうだ、だからタイヤル族と言われてもだ」
 今一つ要領を得ないという顔での言葉だ。
「知らなかった、だから私にと
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