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歌集「春雪花」
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 流れ流れ

  想い揺蕩う

   夜も更けて

 蛙鳴く田に

    月はなかりし



 月日はどんなに願っても進み逝く…。

 止め処なく想いは巡り、彼のことを考えているだけで夜も更けてゆく…。

 外からは田から蛙の鳴き声が聞こえるが…空には月がなく、ただ夜の闇が世界を覆っているだけだ…。



 むなしたる

  時の狭間の

   涙雨

 水無月の名の

  意味ぞ知りたり



 会えない彼を想い続ける…。そんな虚しい時は心にも雨が降る…そう、さめざめと…まるで梅雨の小雨の様に…。

 水無月とは元来、水の月という意味だという…。
 こんなに切なく、淋しさを感じて心にまで雨を降らせるのは…そのせいなのかも知れない…。




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